池杉学園GOODグループ

 俺の中学校生活は、はちゃめちゃ確定だろう。きっとこの先絶対楽しくなる。でも、それは俺次第なわけで、これから先どうなるかは誰にも分からない。だから、出来ることからはじめていこう。ここにいるメンバーはみんな、過去に俺が見てきた人たちとは全然違う。頼れるって、分かったから。心から安心できるって、思ったから。

「ところでさぁ、GOODグループのGOODって由来、なんやったん?」

 光先輩が切り分けてくれたケーキの皿を受け取りながら、由が話を切り出す。

「え、それ本当に知りたい?」

 善先輩も来來先輩と一緒に戻ってきていて、呆れた顔をこちらに向けている。

「俺も気になります」

 前にも、真心先輩が言っていた。『あ、GOODグループの由来はね、また別にあってねー』って。

「つーか、GOODってよく考えたらめちゃくちゃダサいやろ」

 和気あいあいとしていた調理室がピキンッと一瞬だけ凍った。

「由! 誰もが心の中で密かに思っているけど、決して言葉にはしないでグッと我慢していることを、そんな簡単にひょうひょうと言うなよ! 失礼だろ」
「……言っちゃってる蒼輝くんも十分失礼だけどね」

 クスクスと笑ってソファーから立ち上がったのは、真心先輩。
 俺はハッとしてからなにも言えずに席に座った。

「善先輩がつけた名前やから、真心先輩は優しさで仕方なく受け入れたんやろ?」
「は? 俺じゃねーし、その名前付けたの」

 由の言葉に食い気味で意見するのは善先輩。

「森谷先生だね、名付け親は。僕らのイケメン度で先生を助ける仕事をしてくれる。そして、善の名前が良いって意味だから、そーだね、GOODだね、キミら。って」

 今度は、時が止まったように全員が金縛りにでもあったみたいに動かない。一瞬だけ、この世界に景色も色も無くなってしまったように感じた。

「まぁ、先生だったら納得」
「うん、仕方ない、先生じゃ」

 ポツリポツリとうなずいて言う影先輩と光先輩。二人とも由来を今まで知らなかったらしい。

「つーか、よく受け入れたな、そんなん」
「自分達で考えるのも面倒だろ」

 ため息を吐き出して、善先輩がクールに一言。ああ、そっか。確かに。それには由も納得したようだ。

「そうやったー、善先輩ってそういう人やったわー!」

 あはははと、調理室がまた賑やかさを取り戻していく。
 善先輩は極度のめんどくさがり屋。ってことで、そのまま先生の親父ギャグが冴えた、GOODグループになったようだ。
 まぁでも、人の感性ってすごいよね、ってか、もはや慣れ?
 俺ははっきり言って、『GOOD』って言葉の形も意味も、響きすらかっこいいと思ってしまっている。完全に脳内やられてる。
 全然ダサくなんてないじゃん。むしろかっこよすぎる。たぶん、この学園の生徒全員がそう思っていると思う。この人たちの影響力は半端ない。

 帰ったら、さっそくじいちゃんとばあちゃんに生徒会に正式に入ったことを報告しよう。そして、母さんには友達が出来たことを話そう。
 由がいれば、GOODグループのメンバーがいれば、過去の嫌な思い出だって全部塗り替えて、今が最高だって思えるくらいに強くなれる気がする。
 だって、七条由をこれから最強にするのは、この俺だから。
 先生や先輩たちの希望通りに、七条由を池杉学園トップの生徒会長に伸し上げてみせる!

「でも、あまりに不甲斐ないようだったら俺が生徒会長の座を奪うからな」
「おー、宣戦布告やな。望むところや! かかってこいやぁ!」

 俺と由の池杉学園での生活がここからスタートする。