池杉学園GOODグループ

 歓迎会を開いてくれているっていうのに、その場に呼ばれているはずの俺がいないとか、申し訳なさすぎる。
 同じ一階とはいえ、保健室は調理室の真逆。全力で廊下を真っ直ぐに走り抜ける。誰もいないのは、多分もう放課後もとっくに過ぎて、みんな帰ってしまったからかもしれない。
 それなのに、まだ俺のことを待ってくれているって、どんだけいい人たちだよ、GOODグループって。
 ああ、そっか、GOODって、そう言うことなのかな? 人として、良いってこと?
 なんか、そう考えると、すごい集まりだな。
 真心先輩の包容力や天使みたいな微笑みは全てを見守って優しく、時に厳しくしてくれるし、善先輩はクールながらも一つ一つの物事に対して熱い人だ。それに、影先輩だって目立つことはしないけれど、これからの学園のことをちゃんと考えていると思った。光先輩はまだあまり関わっていないけれど、物事はっきり言うタイプだし、きっとまとめ役として前に出れる人なんだろう。
 俺は?
 やっぱり、最後はそこにぶち当たってしまう。どう考えても、俺にはGOODな部分なんか見当たらない。自信だってないし、特技もない。
こんなすごいメンバーの中に招かれて、本当に大丈夫だろうか?
 急に不安が押し寄せてきて、進んでいた足が遅くなる。
 調理室まではあと数メートル。
 どうしよう。行ってどうしたらいい。なんて言って歓迎されたらいいのか。そもそも、俺なんかが歓迎されるのだろうか。
 また、不安と恐怖心が込み上げてくる。

「お! 蒼輝遅いやんー! 何突っ立ってんの!」

 ガラリと開いたドアから、由が顔を覗かせて目が合った。
 言い方が、いつもよりも穏やかに感じるけど、雰囲気はGOOD由ではない。関西弁も使っているから、いつもの俺が知っている由だ。

「体大丈夫か? 森谷先生のケーキみたら大爆笑で嫌なことなんか全部吹っ飛ぶで!」

 あっははは! と、なにか思い出したのか、由は調理室内に振り返って笑ってから、こちらにまた向き直った。

「はよおいでーや、みんな待ってるで」

 手招きをしながら、由は笑顔をくれる。
 もやもやと考えていたマイナスの気持ちが、スッと晴れていく気がした。
 なにをまた迷っているんだろう。
 すうっと息を吸い込んで、吐き出す。
 俺は俺だ。
 そう決めて、一歩を踏み出す。