「みなさーん! こんにちは、七条由です! やっと、調理室に到着しましたー!」
わはっと、爽やかな笑顔で真心先輩と善先輩の真ん中に現れた由に、一際高い歓声が上がる。圧倒されて驚いた俺はその場に立ち止まった。
「初等部を卒業し、今年から中等部の一員になりました! これまで真心先輩と善先輩が守ってきた池杉学園を、先輩たちが卒業する日までに僕がしっかり引き継ぎます! で、そのためには、僕一人の力じゃダメなんです」
由の言葉に、みんなは耳を傾けて静かに聞いている。俺も由の決意を聞いて、池杉学園のトップに立ちたいという思いは本物なんだなと感じた。思わず、由の言葉に拍手を送りたくなって胸の前で両手を合わせると、みんなの方を向いていた由がこちらに振り返った。
「蒼輝! こっちに来て!」
爽やかに手招きをする由。すると、いっせいに俺の方にみんなの視線が集中する。
さっきまでキラキラときらめいて見えていた空間に、どんよりと生徒たちの目だけが不気味に浮いているように見える。とたんに、気持ちが悪くなる。ゆがんでいく視界に、思わず目を伏せた。
やっぱり、俺は人に見られるのが苦手だ。
怖い。悪口を言われている気がしてくる。誰も俺のことなんて知るはずがないし、興味もないだろうけど。
なんにもない俺が、あんなキラキラした由の隣になんて並びたくない。真心先輩も善先輩も、みんなの人気者で特別な存在だ。
最初からなにもかもが強引だったんだ。そんな特別な人たちの中になんて、入れるわけがない。決心なんかあっという間にしぼんでいってしまった。心の中でマイナスの気持ちがどんどん大きくなる。
すると、うつむいていた俺の隣に、森谷先生のスニーカーが見えた。
「工藤くん、何かあったら私が責任をとるし、工藤くんのことは全力で守るから」
「……え」
顔を上げて先生のことを見れば、力強い眼差しでこちらを見ている。
「さっき、調理室に行くって決意してくれた言葉、先生聞いていたよ。本当に大丈夫であれば、一歩踏み出してごらん。ダメでも大丈夫だ。信じろ、きっと彼らがなんとかする」
睨んでいるように見えて怖かったたくさんの生徒たちの目が、だんだんど期待をするようなワクワクした瞳に見えてくる。勝手に頭の中で悪い方へと考えすぎていた。それに、森谷先生の言うとおり、俺はさっき決めたばかりじゃないか。『ここで逃げてしまったら、また同じなのかもしれない。変わるなら、今なのかもしれない』って。
由が手を差し伸べてくれている。
俺は、由に向かって真っ直ぐに足を踏み出し進んだ。
怖くたっていい。期待されようなんて思わない。特別だなんて勘違いもしたくない。俺は俺でいていいんだって、思いたい。
ただ、それだけだ。
七条由が自由に自分を吐き出す場所があるように、俺もこの生徒会、GOODグループのメンバーに俺という存在を認めてもらいたい。
初めて友達が出来たんだ。とんでもないやつで、絶対に関わりたくなんかないって思っていたのに。だけど、関われば関わるほど、最悪だった過去の思い出が塗り替えられていく。
由があまりにわがままな本音を吐き出すから、あの勢いにはたぶん一生慣れない。だから、俺は由とは分かり合えることはないと思う。だけど、由は由だし、俺は俺だ。それでいいと思う。
責任なんて重たい言葉、俺にはまだ背負えない。森谷先生は今、やりたいようにやれと、そう背中を押してくれたんだ。
だったら、行くしかないだろう!
由の手を取りベランダに出ると、由と先輩たちの間に立つ。
「工藤蒼輝です! 由と友達になりました! 皆さんよろしくお願いしまーす!」
夢中になって、気がついたらそんなことを叫んでいた。入学式で代表あいさつをした時よりも緊張して、全身の血の気が引いていく。ふらりと足元がよろけて、俺はそのまま気を失った。
わはっと、爽やかな笑顔で真心先輩と善先輩の真ん中に現れた由に、一際高い歓声が上がる。圧倒されて驚いた俺はその場に立ち止まった。
「初等部を卒業し、今年から中等部の一員になりました! これまで真心先輩と善先輩が守ってきた池杉学園を、先輩たちが卒業する日までに僕がしっかり引き継ぎます! で、そのためには、僕一人の力じゃダメなんです」
由の言葉に、みんなは耳を傾けて静かに聞いている。俺も由の決意を聞いて、池杉学園のトップに立ちたいという思いは本物なんだなと感じた。思わず、由の言葉に拍手を送りたくなって胸の前で両手を合わせると、みんなの方を向いていた由がこちらに振り返った。
「蒼輝! こっちに来て!」
爽やかに手招きをする由。すると、いっせいに俺の方にみんなの視線が集中する。
さっきまでキラキラときらめいて見えていた空間に、どんよりと生徒たちの目だけが不気味に浮いているように見える。とたんに、気持ちが悪くなる。ゆがんでいく視界に、思わず目を伏せた。
やっぱり、俺は人に見られるのが苦手だ。
怖い。悪口を言われている気がしてくる。誰も俺のことなんて知るはずがないし、興味もないだろうけど。
なんにもない俺が、あんなキラキラした由の隣になんて並びたくない。真心先輩も善先輩も、みんなの人気者で特別な存在だ。
最初からなにもかもが強引だったんだ。そんな特別な人たちの中になんて、入れるわけがない。決心なんかあっという間にしぼんでいってしまった。心の中でマイナスの気持ちがどんどん大きくなる。
すると、うつむいていた俺の隣に、森谷先生のスニーカーが見えた。
「工藤くん、何かあったら私が責任をとるし、工藤くんのことは全力で守るから」
「……え」
顔を上げて先生のことを見れば、力強い眼差しでこちらを見ている。
「さっき、調理室に行くって決意してくれた言葉、先生聞いていたよ。本当に大丈夫であれば、一歩踏み出してごらん。ダメでも大丈夫だ。信じろ、きっと彼らがなんとかする」
睨んでいるように見えて怖かったたくさんの生徒たちの目が、だんだんど期待をするようなワクワクした瞳に見えてくる。勝手に頭の中で悪い方へと考えすぎていた。それに、森谷先生の言うとおり、俺はさっき決めたばかりじゃないか。『ここで逃げてしまったら、また同じなのかもしれない。変わるなら、今なのかもしれない』って。
由が手を差し伸べてくれている。
俺は、由に向かって真っ直ぐに足を踏み出し進んだ。
怖くたっていい。期待されようなんて思わない。特別だなんて勘違いもしたくない。俺は俺でいていいんだって、思いたい。
ただ、それだけだ。
七条由が自由に自分を吐き出す場所があるように、俺もこの生徒会、GOODグループのメンバーに俺という存在を認めてもらいたい。
初めて友達が出来たんだ。とんでもないやつで、絶対に関わりたくなんかないって思っていたのに。だけど、関われば関わるほど、最悪だった過去の思い出が塗り替えられていく。
由があまりにわがままな本音を吐き出すから、あの勢いにはたぶん一生慣れない。だから、俺は由とは分かり合えることはないと思う。だけど、由は由だし、俺は俺だ。それでいいと思う。
責任なんて重たい言葉、俺にはまだ背負えない。森谷先生は今、やりたいようにやれと、そう背中を押してくれたんだ。
だったら、行くしかないだろう!
由の手を取りベランダに出ると、由と先輩たちの間に立つ。
「工藤蒼輝です! 由と友達になりました! 皆さんよろしくお願いしまーす!」
夢中になって、気がついたらそんなことを叫んでいた。入学式で代表あいさつをした時よりも緊張して、全身の血の気が引いていく。ふらりと足元がよろけて、俺はそのまま気を失った。



