「ここの学校の生徒は基本生配信中は、画角に入り込んでこない。映り込むことはあっても、通行人としての役割を果たすだけ。応援は距離を空けて。そこは徹底してある。画面にカメラ目線で映り込もうなんて思ったら最後。退学同等の謹慎を森谷先生より言い渡される。GOODグループの配信に映り込んだ者は、森谷先生の判断によって刑が罰せられるんだよ」
森谷先生の権限強いな……刑って。
「だから、配信は気兼ねなくやってもいい。いっくらふざけようが、楽しもうが、むしろ自由気ままにやってもらう方が喜ばれる。でも、俺は今までもこれからも、由が誰よりも目立って一番だ! って推してもらいたいって思ってるんだからな」
全身全霊で言い切った影先輩に、俺はあ然とする。そして、二人は互いに両手を大きく広げた。
「影ぇ!!」
「由ぃ!!」
目の前でがっしりと抱き合う影先輩と由。
いや、なにこれ。何を見せられているの? 俺は。二人は単なる先輩後輩じゃないのか?
影先輩は真心先輩や善先輩以上に由のことを推してると? そういうことでいいのか? もはや理解が追いつかない。
「調理室はもうあの二人が盛り上がりすぎているから、とりあえず今日の歓迎会はそのまま配信で行うけど、蒼輝は大丈夫か?」
「……え」
影先輩が、急に俺の方を向いて聞いてくる。
「真心先輩も善先輩も、蒼輝が人の目に晒されることが苦手だって心配していたから。俺もその気持ちは痛いほど分かるし」
「え、分かって、くれるんですか?」
影先輩の言葉に、驚く。そして、真心先輩と善先輩が俺のことを心配してくれていると聞いて、なんだか心の中があたたかくなった。
「分かるよそりゃ。俺も苦手だし。注目されるのは光一人でいいのに、なんで俺までGOODグループに入らなきゃないんだって、いまだにゴネてるから」
ははっと笑いながら、影先輩が教えてくれた。
「俺が割り切って活動できてるのは、由のおかげでもあるからな。蒼輝もきっとそうなるよ、そのうち」
感情は爆発させつつも、ずっとクールな表情で由と話していた影先輩が、ふいに笑顔を見せてくれる。そのやわらかな微笑みに、俺の胸にトスッと心地のいい矢が刺さる。
善先輩の時と同じだ。何この先輩。不意打ちすぎてカッコいい。
「俺は蒼輝のことも応援するからな。二人ともかわいいかわいい後輩くんたちだからさ」
照れながらクールな表情に戻った影先輩のことが、めちゃくちゃ愛おしい。
なんだか森谷先生がこの人たちのことを推す理由がなんとなく分かってきた気がする。
「あのー、そろそろ場所移動してもらっていいですか? こっち対処しきれないんですけど」
教室のドアが数センチ開くと、小さな声が聞こえてきた。見れば、あせった顔の香坂さんだ。廊下で生徒の足止めをしていたが、限界が来たらしい。
「あ! わりぃ。友里ありがとな。じゃあ、とりあえず生徒会室に避難しよか?」
俺の方を見て、由が聞いてくる。
きっと、このまま調理室に行けば、俺もたくさんの生徒が見ているところで配信に参加しなければならなくなる。それを心配して、影先輩はここへ来てくれたんだ。しかも、真心先輩も善先輩も俺のことを心配してくれていると言っていた。
これまで、こんなに人に心配されたことなんかなかった。俺のことなんて、気にかけてくれる人なんていなかった。
両親さえも、一人で出来るでしょって、家でも教室でもずっとひとりぼっちだと感じる瞬間ばかりだった。
でも、そんなことなかった。俺だって由と同じだ。ちゃんと母さんも先輩たちも、俺のことを見てくれている。
一人でなんでも出来るって、強がっていただけだ。俺は、この池杉学園で変わりたいって思って入学したんだ。だから、ここで逃げてしまったら、また同じじゃないのか。変わるなら、今だ。
俺は、俺は……なんやかんやあっても、この人たちが好きなんだと思うし!
「俺、行きます! 調理室」
顔を上げて決心する。
目の前の由と影先輩の表情が、心配そうな顔からGOODグループとしての顔に変わった。
「よっしゃあ、ほな、行くで!」
森谷先生の権限強いな……刑って。
「だから、配信は気兼ねなくやってもいい。いっくらふざけようが、楽しもうが、むしろ自由気ままにやってもらう方が喜ばれる。でも、俺は今までもこれからも、由が誰よりも目立って一番だ! って推してもらいたいって思ってるんだからな」
全身全霊で言い切った影先輩に、俺はあ然とする。そして、二人は互いに両手を大きく広げた。
「影ぇ!!」
「由ぃ!!」
目の前でがっしりと抱き合う影先輩と由。
いや、なにこれ。何を見せられているの? 俺は。二人は単なる先輩後輩じゃないのか?
影先輩は真心先輩や善先輩以上に由のことを推してると? そういうことでいいのか? もはや理解が追いつかない。
「調理室はもうあの二人が盛り上がりすぎているから、とりあえず今日の歓迎会はそのまま配信で行うけど、蒼輝は大丈夫か?」
「……え」
影先輩が、急に俺の方を向いて聞いてくる。
「真心先輩も善先輩も、蒼輝が人の目に晒されることが苦手だって心配していたから。俺もその気持ちは痛いほど分かるし」
「え、分かって、くれるんですか?」
影先輩の言葉に、驚く。そして、真心先輩と善先輩が俺のことを心配してくれていると聞いて、なんだか心の中があたたかくなった。
「分かるよそりゃ。俺も苦手だし。注目されるのは光一人でいいのに、なんで俺までGOODグループに入らなきゃないんだって、いまだにゴネてるから」
ははっと笑いながら、影先輩が教えてくれた。
「俺が割り切って活動できてるのは、由のおかげでもあるからな。蒼輝もきっとそうなるよ、そのうち」
感情は爆発させつつも、ずっとクールな表情で由と話していた影先輩が、ふいに笑顔を見せてくれる。そのやわらかな微笑みに、俺の胸にトスッと心地のいい矢が刺さる。
善先輩の時と同じだ。何この先輩。不意打ちすぎてカッコいい。
「俺は蒼輝のことも応援するからな。二人ともかわいいかわいい後輩くんたちだからさ」
照れながらクールな表情に戻った影先輩のことが、めちゃくちゃ愛おしい。
なんだか森谷先生がこの人たちのことを推す理由がなんとなく分かってきた気がする。
「あのー、そろそろ場所移動してもらっていいですか? こっち対処しきれないんですけど」
教室のドアが数センチ開くと、小さな声が聞こえてきた。見れば、あせった顔の香坂さんだ。廊下で生徒の足止めをしていたが、限界が来たらしい。
「あ! わりぃ。友里ありがとな。じゃあ、とりあえず生徒会室に避難しよか?」
俺の方を見て、由が聞いてくる。
きっと、このまま調理室に行けば、俺もたくさんの生徒が見ているところで配信に参加しなければならなくなる。それを心配して、影先輩はここへ来てくれたんだ。しかも、真心先輩も善先輩も俺のことを心配してくれていると言っていた。
これまで、こんなに人に心配されたことなんかなかった。俺のことなんて、気にかけてくれる人なんていなかった。
両親さえも、一人で出来るでしょって、家でも教室でもずっとひとりぼっちだと感じる瞬間ばかりだった。
でも、そんなことなかった。俺だって由と同じだ。ちゃんと母さんも先輩たちも、俺のことを見てくれている。
一人でなんでも出来るって、強がっていただけだ。俺は、この池杉学園で変わりたいって思って入学したんだ。だから、ここで逃げてしまったら、また同じじゃないのか。変わるなら、今だ。
俺は、俺は……なんやかんやあっても、この人たちが好きなんだと思うし!
「俺、行きます! 調理室」
顔を上げて決心する。
目の前の由と影先輩の表情が、心配そうな顔からGOODグループとしての顔に変わった。
「よっしゃあ、ほな、行くで!」



