「それはな……」
「そ、それは」
「わしのイケてる顔面と魅惑のボディで全員イチコロよ。コロッと」
……は?
じいちゃんのコロッとの言葉と同時に、俺は箸ではさんでいた唐揚げをコロッと落っことしてしまった。
「わしの格好良さが学校を救ったんじゃよ。何をやっても様になるし出来ないことなどなかったからなぁ、わしに敵うやつなどいなかった。だからこそ生徒のトップに立って、先生方の助けになることが出来たんだ。今だにあの頃の話をするとキリが無いのだよ。わっはっはっはっは!」
「あら、鈴木さんとまたその話で盛り上がってきたのね。好きだものね、鈴木さんその話」
「もう何百回と話してるんだがなぁ」
ばあちゃんがクスクスとじいちゃんの隣で笑う。鈴木さんはたぶん近所の鈴木さんのことだと思うけど。それにしても、理由がそれって、なんか納得できないんだけど。
自信満々で笑うじいちゃんは、どう見たってその辺にいるただのじいさんだ。
「やっぱイケメンは正義なんやなぁ」
あこがれの眼差しを向ける由の横顔は、確かにイケメンだ。しかし、だからってイケメンが学校を救うとか、ありえるのか?
「俺、頑張ってレジェンド様に追いつけるような生徒になる! そやさかい、これからもご指導よろしゅうお願いします!」
箸を置き、テーブルに額をぶつけそうなくらいに頭を下げた由に、驚く。
また「表を上げよ」とか言うんだろと思ってじいちゃんのことを見てみれば、なんだかとても嬉しそうに優しく微笑んでいる。
「ありがとう。君みたいな子がまだ学園にいることが嬉しいよ。頑張りなさい」
「……はいっ!!」
顔を上げた由は涙目でじいちゃんに向かって元気よく返事をした。二人の周りに、キラキラと輝くオーラのエフェクトが見える気がして、感動的なシーンを演出している。
なんだか、由が俺よりもじいちゃんとの絆を深めている様な気がして、少しもやっとした。
「蒼輝と一緒に頑張るんで、見守っとってください!」
ガシッと肩を組まれて、驚いた俺はまたしても唐揚げをテーブルの上に落っことす。
なんで俺と一緒なんだと言ってやりたかったけど、嬉しそうなじいちゃんと楽しそうに話す由の顔を見ていたら、なんだか言えなかった。
夕飯を食べ終えると、玄関のチャイムが鳴った。ばあちゃんが対応していると、賑やかな声がこちらにまで聞こえてくる。
「大変お世話になりました。突然お邪魔してしまって申し訳ありません。わがままなど言っておりませんでしょうか? こちら今日のお礼です。遠慮なく受け取ってください。由ちゃん、由ちゃーん、帰るわよー」
さっきスマホで連絡を入れていたから。迎えにきたのは、由の親だろう。
「……由ちゃん」
ポツリと、つい呟いてしまう。
「ママはね、俺のことをめちゃくちゃかわいいと思っているし、大好きなんだよね」
しれっと、恥ずかしがるわけでもなく、由は茶碗を下げながら言う。だけど、なんとなく寂しそうにも見えてしまったのは、気のせいかな。
じいちゃんとばあちゃんと俺で、由を見送る。家の前に横付けした車に乗って、由はお母さんと一緒に帰って行った。
由のお母さんは、とても美人でモデルさんみたいにスラリとしていた。俺の母さんとは全く別の人種みたいに綺麗な人だと思った。
俺の母さんはいつも忙しそうにしていて、髪の毛は一つ結びしか見たことがないし、メイクだってたぶんしていないし、見た目をあまり気にしていない。俺が家を出たことで、少しでも母さんの負担が軽くなっていたらいいんだけどな。
さっき聞いた母の声をまた思い出して、夜空を見上げるとちょっとだけホームシックになってしまった。でも、帰りたいとは思わない。ここで帰ったら、なんだか由にも自分にも負けてしまう気がするから。
由には勝ち負けじゃないって言ったけど、俺はまず、自分の気持ちに勝たないと前には進めない。
「夜は風がまだ冷たいわね。そうちゃん、お風呂に入ってあったまりなさい」
「うん」
しばらく空を見上げていた俺に、ばあちゃんが優しく声をかけてくれる。
大丈夫。過去は過去だ。まずはこれからのことを考えないと。
新しい生活にも、そのうち慣れてくるさ。きっと。
「そ、それは」
「わしのイケてる顔面と魅惑のボディで全員イチコロよ。コロッと」
……は?
じいちゃんのコロッとの言葉と同時に、俺は箸ではさんでいた唐揚げをコロッと落っことしてしまった。
「わしの格好良さが学校を救ったんじゃよ。何をやっても様になるし出来ないことなどなかったからなぁ、わしに敵うやつなどいなかった。だからこそ生徒のトップに立って、先生方の助けになることが出来たんだ。今だにあの頃の話をするとキリが無いのだよ。わっはっはっはっは!」
「あら、鈴木さんとまたその話で盛り上がってきたのね。好きだものね、鈴木さんその話」
「もう何百回と話してるんだがなぁ」
ばあちゃんがクスクスとじいちゃんの隣で笑う。鈴木さんはたぶん近所の鈴木さんのことだと思うけど。それにしても、理由がそれって、なんか納得できないんだけど。
自信満々で笑うじいちゃんは、どう見たってその辺にいるただのじいさんだ。
「やっぱイケメンは正義なんやなぁ」
あこがれの眼差しを向ける由の横顔は、確かにイケメンだ。しかし、だからってイケメンが学校を救うとか、ありえるのか?
「俺、頑張ってレジェンド様に追いつけるような生徒になる! そやさかい、これからもご指導よろしゅうお願いします!」
箸を置き、テーブルに額をぶつけそうなくらいに頭を下げた由に、驚く。
また「表を上げよ」とか言うんだろと思ってじいちゃんのことを見てみれば、なんだかとても嬉しそうに優しく微笑んでいる。
「ありがとう。君みたいな子がまだ学園にいることが嬉しいよ。頑張りなさい」
「……はいっ!!」
顔を上げた由は涙目でじいちゃんに向かって元気よく返事をした。二人の周りに、キラキラと輝くオーラのエフェクトが見える気がして、感動的なシーンを演出している。
なんだか、由が俺よりもじいちゃんとの絆を深めている様な気がして、少しもやっとした。
「蒼輝と一緒に頑張るんで、見守っとってください!」
ガシッと肩を組まれて、驚いた俺はまたしても唐揚げをテーブルの上に落っことす。
なんで俺と一緒なんだと言ってやりたかったけど、嬉しそうなじいちゃんと楽しそうに話す由の顔を見ていたら、なんだか言えなかった。
夕飯を食べ終えると、玄関のチャイムが鳴った。ばあちゃんが対応していると、賑やかな声がこちらにまで聞こえてくる。
「大変お世話になりました。突然お邪魔してしまって申し訳ありません。わがままなど言っておりませんでしょうか? こちら今日のお礼です。遠慮なく受け取ってください。由ちゃん、由ちゃーん、帰るわよー」
さっきスマホで連絡を入れていたから。迎えにきたのは、由の親だろう。
「……由ちゃん」
ポツリと、つい呟いてしまう。
「ママはね、俺のことをめちゃくちゃかわいいと思っているし、大好きなんだよね」
しれっと、恥ずかしがるわけでもなく、由は茶碗を下げながら言う。だけど、なんとなく寂しそうにも見えてしまったのは、気のせいかな。
じいちゃんとばあちゃんと俺で、由を見送る。家の前に横付けした車に乗って、由はお母さんと一緒に帰って行った。
由のお母さんは、とても美人でモデルさんみたいにスラリとしていた。俺の母さんとは全く別の人種みたいに綺麗な人だと思った。
俺の母さんはいつも忙しそうにしていて、髪の毛は一つ結びしか見たことがないし、メイクだってたぶんしていないし、見た目をあまり気にしていない。俺が家を出たことで、少しでも母さんの負担が軽くなっていたらいいんだけどな。
さっき聞いた母の声をまた思い出して、夜空を見上げるとちょっとだけホームシックになってしまった。でも、帰りたいとは思わない。ここで帰ったら、なんだか由にも自分にも負けてしまう気がするから。
由には勝ち負けじゃないって言ったけど、俺はまず、自分の気持ちに勝たないと前には進めない。
「夜は風がまだ冷たいわね。そうちゃん、お風呂に入ってあったまりなさい」
「うん」
しばらく空を見上げていた俺に、ばあちゃんが優しく声をかけてくれる。
大丈夫。過去は過去だ。まずはこれからのことを考えないと。
新しい生活にも、そのうち慣れてくるさ。きっと。



