あれから、俺はずっと眠っていたらしい。
新しい環境に、慣れない人間関係。過去の良くない思い出。いろんな部分で身も心も負荷がかかっていたのかもしれない。
季節の変わり目なんかによく熱を出す、あんな感覚だ。もう少し体力もつけないといけないかもしれないな。
保健室を出た後で、廊下に貼られた部活動勧誘のポスターに目が留まった。
運動部、文化部。様々な部活動をアピールするポスターを流れるように見ていくと、途中からなんだか様子がおかしくなっていく。
見たことのある面々が、煌びやかな背景とモデル風なポージングをしているポスター。一通り見終えると、最後に全員そろったポスターが貼ってあって、明らかに見覚えのある顔。
まるで、宣材写真のアイドルグループみたいな、いや、それよりもオーラがすごいというか、圧がすごいというか。
「……なにこれ」
決してライトなど当たっているわけではないのだけれど、このポスターだけスポットライトが当たっているみたいに、キラキラして見える。
俺の目がおかしいのだろうか?
真ん中に背中合わせで立つのは、生徒会長の真心先輩と副会長の善先輩。その後ろに双子の影先輩が怪しげな雰囲気で凛として立ち、光先輩が挑発的な目でこちらを見ている。
「生徒会で活動しているGOODグループだよ」
先に行ったと思っていた香坂さんの声が隣から聞こえてびっくりしていると、その隣に七条由も立っている。
「今から説明があんねん。寝とる場合ちゃうねんで?」
分かっとんのか? と圧をかけてくる七条由に、俺は笑うしかない。
確かに、今朝生徒会長が言っていた。森谷先生が来て説明してくれるって。
そのまま、三人で三階の生徒会室に向かうことになった。が、ドアの前まできて、違和感に気がつく。
「あれ? 香坂さんも?」
入学式の時に生徒会室にはいなかったし、普通のクラスメイトの一人なはずなのに。
「あたしは断ったんだけどね。由くんがこんななので、仕方なく」
「は? こんなって何がやねん」
「オンオフ完璧なんだけど、最近自由になり過ぎてるから危ういって、生徒会長直々にお目付役を授かったのよ」
生徒会室の中に入れば、すでに真心先輩と善先輩がいて、二人で楽しそうに話をしていた。
とんでもない場所に来てしまったんじゃないかと不安だったけれど、二人のリラックスしたような姿にホッとする。
「あ、いらっしゃーい」
真心先輩が手を振って微笑むと、やっぱり部屋の中は日差しが入り込んだように明るくなった。
「蒼輝くんもう体調は大丈夫?」
「あ、はい。すみません」
「謝らなくていいんだよー! みんな心配してたんだ。元気になったなら安心安心っ」
ねー、と善先輩に相づちを求めているのを見ていると、チラリとこちらを見た善先輩がキリリとしたつり目を和らげた。
「無理すんなよ」
ふわりと笑った瞬間、俺の胸にハートの矢が突き刺さる。
え、あの人あんな風に笑うの? 反則じゃね?
トゲトゲしてクールな印象だった善先輩が、初めて笑ってくれたのを見て、一瞬のうちに心をつかまれてしまった。
「善先輩ってめっちゃいい人だよねー」
隣にいた香坂さんも、善先輩の笑顔にうっとりとしているから驚く。
だって、昨日は不真面目な副会長ってイメージしかなかったのに、まさかの不意打ちだ。
俺は、まだ第一印象の生徒会メンバーしか知らない。もしかしたら、七条由だってあんな怖いやつだけど、実際はみんなに憧れられるすごいやつなんじゃ……
「工藤蒼輝ー! はよ座らんかい、ボケ!」
立ちっぱなしでいた俺に、七条由の罵声が飛んでくる。
前言撤回だ。
グサリと刺さったボケの言葉を心から抜き去ることなく、俺は「あいつはあいつのまま」と、苛立ちを鎮めながら空いている椅子に座った。
香坂さんがため息をつく。とても大変そうな役職だ。俺はため息の意味を深く理解する。
新しい環境に、慣れない人間関係。過去の良くない思い出。いろんな部分で身も心も負荷がかかっていたのかもしれない。
季節の変わり目なんかによく熱を出す、あんな感覚だ。もう少し体力もつけないといけないかもしれないな。
保健室を出た後で、廊下に貼られた部活動勧誘のポスターに目が留まった。
運動部、文化部。様々な部活動をアピールするポスターを流れるように見ていくと、途中からなんだか様子がおかしくなっていく。
見たことのある面々が、煌びやかな背景とモデル風なポージングをしているポスター。一通り見終えると、最後に全員そろったポスターが貼ってあって、明らかに見覚えのある顔。
まるで、宣材写真のアイドルグループみたいな、いや、それよりもオーラがすごいというか、圧がすごいというか。
「……なにこれ」
決してライトなど当たっているわけではないのだけれど、このポスターだけスポットライトが当たっているみたいに、キラキラして見える。
俺の目がおかしいのだろうか?
真ん中に背中合わせで立つのは、生徒会長の真心先輩と副会長の善先輩。その後ろに双子の影先輩が怪しげな雰囲気で凛として立ち、光先輩が挑発的な目でこちらを見ている。
「生徒会で活動しているGOODグループだよ」
先に行ったと思っていた香坂さんの声が隣から聞こえてびっくりしていると、その隣に七条由も立っている。
「今から説明があんねん。寝とる場合ちゃうねんで?」
分かっとんのか? と圧をかけてくる七条由に、俺は笑うしかない。
確かに、今朝生徒会長が言っていた。森谷先生が来て説明してくれるって。
そのまま、三人で三階の生徒会室に向かうことになった。が、ドアの前まできて、違和感に気がつく。
「あれ? 香坂さんも?」
入学式の時に生徒会室にはいなかったし、普通のクラスメイトの一人なはずなのに。
「あたしは断ったんだけどね。由くんがこんななので、仕方なく」
「は? こんなって何がやねん」
「オンオフ完璧なんだけど、最近自由になり過ぎてるから危ういって、生徒会長直々にお目付役を授かったのよ」
生徒会室の中に入れば、すでに真心先輩と善先輩がいて、二人で楽しそうに話をしていた。
とんでもない場所に来てしまったんじゃないかと不安だったけれど、二人のリラックスしたような姿にホッとする。
「あ、いらっしゃーい」
真心先輩が手を振って微笑むと、やっぱり部屋の中は日差しが入り込んだように明るくなった。
「蒼輝くんもう体調は大丈夫?」
「あ、はい。すみません」
「謝らなくていいんだよー! みんな心配してたんだ。元気になったなら安心安心っ」
ねー、と善先輩に相づちを求めているのを見ていると、チラリとこちらを見た善先輩がキリリとしたつり目を和らげた。
「無理すんなよ」
ふわりと笑った瞬間、俺の胸にハートの矢が突き刺さる。
え、あの人あんな風に笑うの? 反則じゃね?
トゲトゲしてクールな印象だった善先輩が、初めて笑ってくれたのを見て、一瞬のうちに心をつかまれてしまった。
「善先輩ってめっちゃいい人だよねー」
隣にいた香坂さんも、善先輩の笑顔にうっとりとしているから驚く。
だって、昨日は不真面目な副会長ってイメージしかなかったのに、まさかの不意打ちだ。
俺は、まだ第一印象の生徒会メンバーしか知らない。もしかしたら、七条由だってあんな怖いやつだけど、実際はみんなに憧れられるすごいやつなんじゃ……
「工藤蒼輝ー! はよ座らんかい、ボケ!」
立ちっぱなしでいた俺に、七条由の罵声が飛んでくる。
前言撤回だ。
グサリと刺さったボケの言葉を心から抜き去ることなく、俺は「あいつはあいつのまま」と、苛立ちを鎮めながら空いている椅子に座った。
香坂さんがため息をつく。とても大変そうな役職だ。俺はため息の意味を深く理解する。



