そっくりさん

昨日、あそこにいたよね。歩いているのを見かけたよ。
大学に進学してから、時々、知り合いからそんな風に言われることがあった。
その度に私は首を傾げる。そんなところ、行った覚えは無いのに。

おかしいのはそれだけじゃない。
知らない人から、いきなり声をかけられることも何度かあった。しかも、決まって私じゃない別の人の名前を言うの。
人違いですって言うと、みんな決まって変な顔をする。

どうしてこんなことが起きるんだろう?
ずっと不思議に思っていたけど、今日その謎が解けた。

バイトでたまたま一緒になった子の中に、私にそっくりな子がいたの。
本当に、自分でも見分けがつかないくらいに瓜二つ。
こんなに似ている人がいるなんて。相手の子も、私を見てすごくびっくりしていた。

話してみると、彼女も私と同い年の大学生で、けっこう近くに住んでいるそう。
私を見たって人や、私に声をかけてきた知らない人たちは、みんな私と彼女を間違えてたんだ。

バイトが終わった後、せっかくだからと彼女と二人で食事に行って話をしたらすぐに意気投合した。
顔だけでなく性格も似ていて、まるで他人とは思えない。

話をする中、なんと、地元もすぐ近くということが判明。

すると彼女は、そこで少しの間何かを考えるように押し黙る。
それからこう聞いてきた。

「もしかして、あなたが生まれたのって、〇〇病院?」

その通り。聞けば、彼女もそこで生まれたんだって。
といってもあの辺で子どもを産む時はその病院のお世話になる人が多いから、そこまで珍しい話じゃないか。

だけど彼女は、さっきまでとは打って変わって硬い表情になり、こう言った。

「私、双子の妹がいるの。もちろん、同じ病院で二人同時に生まれたわ。けど、私とは全然似ていない」









【解説】

そっくりな二人。
実は二人は本当の双子で、生まれた頃に病院で子どもの取り違えが行われていた。
何らかのミスにより、彼女の妹と語り部は入れ替わり、それ以来全く別の家庭で育てられていた。