遠い遠い君。

「くっそ…」


どこからか声がして思わず周りを見渡した。子供が遊ぶための遊具の中にドーム型の隠れれそうな遊び場があった。


まさか…「こんな所にいらしたんですか?」


中を覗くと座り込んでる先程の男性。こんな狭い場所に隠れて彼は「罪でも犯したのですか?」思わず声に出してしまった。


「んな訳あるか!」


「っ…申し訳ありません」


とても失礼なことを言ってしまったわ。私って本当に何も出来ない人間ね。


「痛むと思いますがじっとしていてくださいね」


頭から血を流しているからとりあえずの止血をしなきゃ。

暗くて見えにくい…。


「きれーな髪だな」


「え、…」


突然かけられた言葉に思わず相手の方を見るととても近い距離だった。
頬が思わず触れてしまいそうなそんな距離。



「あ、悪い、血がついちまった」


顔が近かったせいで私の髪が触れていたんだ。



「大丈夫です
それよりくすぐったかったでしょう?」


「いや…」


「あっ!!!今何時?!?」



突然聞かれ慌てて持っていた時計を確認すると針はもうすぐ17時になるところだった。


「17時になりますね」



「やっべ、仕事遅刻する!!!」


フラフラしながら慌てて立ち上がると「助かった、ありがとな」男性はそう言って立ち去ってしまった。


大丈夫かしら。



それより私も早く帰宅しなければ。