ポンコツ御曹司の初恋は…

~~~五月~~~

横で立ってるだけでこんなに疲れるのに、いつもわちゃわちゃしている司さんたちが、こんなパーティーをこなしているんなんて改めて凄いと思った。

受付の仕事を終え、お腹を空かせた薫たちが会場内に入ってきた。
「五月、今日の立ち位置は?」
ニヤニヤしながら耳元で聞いてくる。
「そんなの第二秘書のようなもんですよ」
納得してない顔をしてるけど、これ以上何も言えない。
司さんも柏原君も黙っていてくれたんだけど…。

そこへ会長がやってきた。
「おっ、こんなところにいたのか?」
この人も元気だなぁ。
ちっとも疲れを感じさせない。

「司はちゃんと言ったのか?」
何を?
「モタモタしてると、五月ちゃんが逃げてしまうぞ。もっとぐいぐいいかんと!」
今ここで何を言ってるの!
「指輪のひとつも用意してないのか?」
もうそれ以上言わないで。
薫だけじゃない、営業事務の人たちが殆んどいるじゃない。
「…ある」
えっ?
いやいや、今言わなくても良いし、持ってても出さないで欲しい。
「「「きゃー!」」」
まわりの歓声に囲まれて、司さんが指輪を出した。

公開処刑のような、指輪の贈呈式に、私の残っていたスタミナは『0』になってしまった。
そして会長は満足そうに去っていった。