命尽きるこの日まで



あー、どうしようか。

この村は、静かになった。こんな夕暮れにはどこかから子供の騒ぎ声が聞こえて、どこかから夕食の匂いが漂ってきて。

そんな日常は遥か昔のお話でさ。今じゃ、聞こえるのは烏のアホみたいな鳴き声だけだよ。乾いた土の匂いしかしないんだよ。


冷たくなったお邦ちゃんの家の中で、お邦ちゃんがいつも眠っていた布団の前で、俺は願ってしまったんだ。

——死にたいって。

それは俺がこの世で一番願ってはいけないこと。そうだよね、お邦ちゃん。


その時の俺は本気だった。馬鹿だよね。この村を見渡せる、あの山の木から飛び降りようとした。そのために一つの意志でしか動けなくなった足に力を込めた。

お邦ちゃんの家から出た。上の兄さんが俺を見る。ずっと待ち伏せしてたんだってさ。多分俺が兄さんを認識したのは顔寸前まで拳が近付いていた。ギュッと瞼で蓋をする。瞬間、顔全体に熱が加わる。

次に視界が開けた時には地面とくっついてた。グッと俺を見下す兄さんを睨んだ。兄さんはなにも言わずに家に帰った。

でもね、これで目が覚めた。

どうせ死ぬならお邦ちゃんや村のみんなの気持ちを背負おうって、そう思ったんだ。