それでも取り立ては続き、新しい年が明けた。
俺はお邦ちゃんに会いに行くのが少しずつ怖くなってしまった。今日、お邦ちゃんは息をしてないかもしれない。明日、お邦ちゃんは永遠の眠りについてしまっているかもしれない。そう考えるだけで石コロしかない道を進む足が震えてしまった。
そんな俺を笑うかのようにか細く寝息を立てるお邦ちゃんを見て、ひどく安心した日々を俺は永遠に忘れない。
それでも俺の記憶に残るお邦ちゃんと目の前にいるお邦ちゃんを比べてしまうと目の奥がカッと熱くなった。痩せこけて、棒切れのようになったその手を握りしめるなんてことはできない。簡単に折れてしまいそうなその手をただ見つめることしかできなかった。
そのあとはまた、山へ入る。最初のうちは皆が俺を止めてたんだけどね。もう誰も山へ向かう俺を気にかけていなかった。
山は乾き切った土が舞い、枯れ果てた木々を踏むとパキッと簡単に折れてしまった。
山へ入るたびにいい空気だな、なんてお邦ちゃんは言うから今もつい匂いを嗅いでしまう。村となにも変わらない重い空気に苛立ち、八つ当たりしたくなっていたんだ。


