命尽きるこの日まで



次の年もその次の年も惨めなくらいの凶作。
もう俺もお邦ちゃんの背をとっくに越し、いけないとは分かりつつ、山へ狩に出かけていた。少しでも腹を満たすため、お邦ちゃんに食べさせてやるために。


きっとお邦ちゃんは俺がこんなことをしていたなんて知らなかっだろ? なんせお邦ちゃんは長年の無理が祟って流行病にその小さな体を蝕まれていたのだから。
お邦ちゃんだけじゃなかったけどね。小さな村じゃ、病気が蔓延するのにそう時間はかからない。俺は体が強かったのか、馬鹿みたいにに元気だったんだよ。


俺は草一本も生えない道を走り、毎朝お邦ちゃんに会いに行ったんだよ。なに? お隣さんだから走っても意味ないって? いや、一刻でも早くお邦ちゃんが今日もちゃんと生きているか知りたかったんだ。

すっかり暗くなっちまった部屋の中でお邦ちゃんは小さく吐息を立てて寝ていたよね。十日に一回くらいは、ぼうっと天井を見ていたけど。俺もさ、お邦ちゃんが見ている天井を見てみたんだ。シミが入っているだけでちっとも面白くなかったや。
……お邦ちゃんのすぐ横の壁は大きな穴が空いていたね。
お邦ちゃんの家にはもう、この壁の穴を修理してくれるお父さんも、優しく看病してくれるお母さんも、心配そうに覗き込むチビたちもいなかった。


あの時のお邦ちゃんがどこまで理解していたかは俺にはわからないけど、みんなひと足先に黄泉の国へ向かっていたんだよ。


俺はなんとしてでもお邦ちゃんだけには助かってほしかったから何度も何度も何度も山へ入った。でもね、見つかるのは動物たちの骨だけなんだ。そりゃそうだ。何年も何年も何年も、雨が降らなかったんだ。動物だって死んでしまう。