今日をどう生き抜くかを考えなければならなくなったのは将軍様が変わった時からだった。俺たちのような小さな村からも年貢をこれでもかというほど納めさせた。
その年はまだ良かった。稀に見る豊作の年だったから。悪かったのは次の年から。
この頃には俺の背丈もお邦ちゃんと同じか少し高いくらいにはなっていたはず。
全くといっていいほど雨が降らなかった。ため池はもちろん、川の水さえもうお世辞にも流れているとはいえないくらい干魃しきっていた。俺たちは去年の分の蓄え全てとなけなしの米をどうにか納めた。たとえ俺たちの食糧がなくなったとしても。
村のためとはわかっていても、成長途中の俺たちにはとても耐えられるものじゃなかった。そうだよね、お邦ちゃん。それなのにお邦ちゃんときたら少しの食べ物が手に入ったのならばほとんどを幼い弟妹たちに分け与え、山に入って山菜を見つけては俺にくれていた。三兄弟の末の俺は兄さんたちの余りしか食べられないと文句を言ったこと、覚えてくれていたからなんだよね。
お邦ちゃんは決まって『命尽きるその日まで懸命に生きていかなきゃ』と言ってたよね。
……お邦ちゃん、辛かったろ。
お邦ちゃんだって俺と同じくらいには食べなきゃならなかったはずだ。なのにお邦ちゃんは目の前にある食い物を腹一杯にも食べられなかったんだろ。ありがとう。そしてごめんね。


