命尽きるこの日まで



俺とお邦ちゃんの出会いは生まれる前。じゃあ出会ってないじゃないなんて言わないでね。
小さな村のお隣さんだった俺の両親とお邦ちゃんのご両親が親友だったからさ。
お邦ちゃんが俺より半年早くこの世に生を受けて。


小さい時はさ、そりゃお邦ちゃんの方が少しだけ上背があってさ。俺は村のみんなからお邦ちゃんの弟扱いをされるのが心底嫌だったんだよ。


まだ六つか七つのころ、山の川で遊んでたのがいまだに忘れられないんだ。お邦ちゃんが浅瀬から離れて遠くの方で溺れちゃったじゃないか。俺の親父が命からがらお邦ちゃんを抱えて戻ってくるまで、俺は無力に泣いてたんだよ。

それからお邦ちゃんは川が嫌いになっちゃったんだよね。あの時はカッコつけて言えなかったけど、そんなことがあったから実は俺も川が怖くなっちまったんだよ。


俺がこちらを見て微笑む斬首寸前の男を見たって言ったのも稲が生い茂る田んぼの畦道を走り回っていたこの頃だよね。お邦ちゃんは不思議そうに俺を見て、首を傾げていたよね。他の奴らは俺を馬鹿にしたのに、お邦ちゃんだけは男がどこにいるのか必死に探してたっけ。


まあ、何はともあれ平和だったよね。あの頃は。何も知らないで、何も気にしないで生きられた。それが幼かったからなのか、はたまた時代がそうだったのかなんて今の俺にもわからないけど。