月が青く染まる夜に

「…三年前から傾き出てますね」

私の作ったグラフを、片桐さんが指でなぞる。
「この数値なら、更新申請は通ると思います」

迅和くんは資料をめくり、さらにはタブレットを同時に操作しながらうなずいた。

「停電時間は最大で四時間想定です。切替は段階的にいく予定でいます」

…ここでは、二人とも敬語なんだ。
────会議なのだから当たり前か。
会議中に抱く邪念ほど、いらないものはない。

私はなるべく考えないようにして、工程表を開く。
「各部署へは二週間前までに通知します。当日は三十分前にアナウンスを実施予定です。サーバールームは優先切替で非常系へ…」


三人の声が机の上で交差する。
外部と社内。でも議論は対等だ。

「迅和、停電当日の切替立ち会い、私も入るね」

「片桐も?うん、分かった」

こんな時に、突然二人は私を置いていくように呼吸を合わせてきた。

迷いがない呼び方。

仕事だ。ただの仕事。これは仕事。
何度も言い聞かせた。