月が青く染まる夜に

次の瞬間、スクリーンいっぱいに爆発が広がり、予想以上の音に肩が跳ねた。

その拍子に、肘掛けの上の手が横へずれる。
触れた、と認識するより先に、指先に熱が伝わった。

迅和くんの手の甲。

ほんの一瞬のはずなのに、そこだけ感覚がはっきりする。
引こうと思う。でも、引けない。

引くタイミングは、どうしたらいいの?


そんなことを思っているうちに、画面の中ではブレーキの壊れた車が高速道路を突っ走っている。
でも、私のほうがよほど制御不能だ。

指、離さなきゃ。触れてるから、離れないと。


「ブレーキ、効いてないですね」

また、低い声が降ってくる。
こんな時にそんなことを言うの、ずるい。

「勝つ気マンマンなんじゃない…?」

自分でも何を言っているのか分からないまま返すと、すぐ横でわずかに肩が揺れる。
笑っている。
暗闇の中でも、それだけは分かる。


また大きな衝突シーン。
分かっているのに、やっぱり身体が小さく反応してしまう。
今度は、触れている指先にほんの少し力が入った。

握ってはいない。
ただ、なんとなく触れているだけ。それなのに、そこからじわじわと熱が広がっていく。

このままじゃだめだ、と半ば強引に指を引っ込めようとした。
そこで、彼の手が動いて今度は彼の甲が私の指にしっかり触れた。