月が青く染まる夜に

蛍光灯の白い光が、机の表面を冷たく照らしている。

私は画面に映るトンネル照明の点検計画書を、何度目か分からないくらいスクロールしていた。
数字とアルファベットの羅列が、少しずつ目に染みる。

このままいけば、なんとか今日中に提出できるはず。


そう思った瞬間だった。


オフィスの電話がいつもより鋭く鳴った。
鋭く感じたのは、単純に私の嫌な予感。

伸ばしかけた指が、空中で一拍止まる。

気のせいだ、と自分に言い聞かせて、三回コールを待つ癖があるのに、私は一度目で取っていた。


「はい、旭陽電力です」

自分の声が、思ったより低かった。
蓄積した疲労もあるのか、無意識である。

『あ、あの……信号が……』

向こうの女性の声は震えていた。
息が切れ、言葉がうまく出てこない様子。

ただならぬ事態を瞬時に感じ取り、自然と背筋を伸ばした。

「落ち着いてください。どの交差点ですか?」

『青葉橋交差点です……。歩行者信号が、ずっと赤で……人が渡れなくて……車も……なんか信号が点滅していて…』


市内でもかなり大きな交差点である。

受話器越しに、クラクションの音がかすかに混じる。
遠くで誰かが怒鳴っている声も聞こえた。

喉が一瞬だけ乾く。