月が青く染まる夜に

印刷したてほやほやのあたたかいコピー用紙の束を、どうぞ、と迅和くんが取り出して私に渡してくれた。

「ありがとう」

「はい、どういたしまして」

「あの、お昼の…、コーヒーも」

「コーヒー?」

聞き返したあと、思い当たる節があったらしく彼は「あぁ」と漏らした。

「この修理はお礼です、相席の」


そういうセリフがいちいち私の心を揺らすなんて、彼は分かっていないのだろうな。



自席に戻ると、真奈美さんがいつものごとくイスごとこちらへ滑らせてきて、私の顔をのぞき込んできた。

「紗菜ちゃん?なにその顔」

「どんな顔ですか?」

「給湯室行かない?息抜きに」

何が言いたげな先輩に、この場で話を広げさせるわけにはいかない。
言われた通りにいったん仕事は置いておいて、彼女と給湯室へ向かった。