月が青く染まる夜に


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午後の業務は、私の思い描いていた通り忙しかった。

担当現場の消耗品発注や経費精算の確認、加えて社内手続き・書類管理を並行しつつ契約書や申請書の整理を手早くこなしていく。

突発的なトラブルが起きなければ、なんとか定時に帰れるかもしれない。

できることなら今日中に、週明けから始まるトンネル内の照明設備の定期点検の計画書を仕上げたいところ。
なるべく早く上司のゴーサインが欲しい。

隣を見やると、真奈美さんも神妙な顔つきでパソコンを睨んでいた。
それぞれ抱える案件は違えど、大変さは同じだ。


事務所へ差し込む光が少しずつ色を変える頃、フロアは営業課の人たちもだんだんと帰社してきてざわついていた。


そんな中、私はコピー機の前に立っていた。
いや違う、立ち尽くしていた。

赤ランプが、めちゃくちゃ自信満々に光っている。
一生ヤツは繰り返すのではないかという絶望感さえ与えてくる、やけに焼きついてくる赤ランプ。

────また?また紙詰まり?

この、ピピピピピ!って一日に何度耳にすることか。


カバーを開く。
いつものアコーディオン状の紙詰まりではなさそう。

次はトレイを引く。
開かない。
もう一度、力を込めて引く。
…開かない。

深呼吸。

「大丈夫、私はできる。私は、総務部インフラ整備課…、インフラは止めない…!」

ほぼ呪文のようなひとりごとをつぶやく。
だがコピー機は無言。