廊下の奥から現れた白い影は、背中を弓なりに反らし、耳をぺたんと倒していた。
完全武装。
完全敵認定。
いつもと違う香り、いつも私しか帰ってこないはずの玄関、男性という異物を確信したちくわの臨戦態勢。
恋人初訪問を察知した瞬間、猫信号は迷いなく赤に切り替わった。
「大丈夫だから。たぶん」
私も靴を脱ぎながら言うけれど、ちくわは予想よりも迅和くんを敵視しているのか、一歩も引かない。
リビングに入らせまいと、廊下で威嚇を続ける。
「シャーッ!」
迅和くんが一歩動く。
「シャーーーッ!!」
「────僕、なにもしてないよね?」
「存在がアウトみたい」
「エサとか持ってきたほうがよかった?」
「噛みつかれるよ」
話しながら、営業課の笹原さんの話が浮かぶ。
彼の恋人も、“ガガ様”という名の猫を飼っていて、シャーシャーされると嘆いていたっけ。
うちは大丈夫だろうと思っていたけれど、これは予想以上にまずい。
「ちくわ、シャーシャーやめなさい」
私は無理やりちくわを抱っこして、とりあえずリビングへ続くドアを開けて彼を中に入れた。
完全武装。
完全敵認定。
いつもと違う香り、いつも私しか帰ってこないはずの玄関、男性という異物を確信したちくわの臨戦態勢。
恋人初訪問を察知した瞬間、猫信号は迷いなく赤に切り替わった。
「大丈夫だから。たぶん」
私も靴を脱ぎながら言うけれど、ちくわは予想よりも迅和くんを敵視しているのか、一歩も引かない。
リビングに入らせまいと、廊下で威嚇を続ける。
「シャーッ!」
迅和くんが一歩動く。
「シャーーーッ!!」
「────僕、なにもしてないよね?」
「存在がアウトみたい」
「エサとか持ってきたほうがよかった?」
「噛みつかれるよ」
話しながら、営業課の笹原さんの話が浮かぶ。
彼の恋人も、“ガガ様”という名の猫を飼っていて、シャーシャーされると嘆いていたっけ。
うちは大丈夫だろうと思っていたけれど、これは予想以上にまずい。
「ちくわ、シャーシャーやめなさい」
私は無理やりちくわを抱っこして、とりあえずリビングへ続くドアを開けて彼を中に入れた。



