目が合うたびに、心臓が一瞬だけ強く打つから。
あの信号機のキーホルダーが揺れるたび、どうでもいいことで意識が持っていかれるから。
それを悟られないように、私は“仕事の顔”をかぶる。
きちんとした総務部員の顔。
冷静で、淡々としていて、誰にも特別な温度を見せない顔。
「避けてるんじゃないよ」
自分でも驚くくらい、声が静かだった。
「この間も言ったでしょ。“再起動”」
「…プロジェクター?」
思い出したかのように、迅和くんが聞き返す。
「そうそう。もうね、毎日、毎回、再起動してるの、自分を」
「なんで?」
今度は、彼のほうが口にした“なんで?”に、やっぱり自覚ないんだなぁ、と思って半分笑ってしまった。
「会社で迅和くんと目が合ったり、なにか話したり、ちょっとやさしくしてくれたり。それだけで心拍数が爆上がり、からの、キャパオーバー」
言ってから、遅れて熱が上がる。
「そんなわけで、今もだいぶ再起動したい所存であります」
もう、私は彼の顔を見れない。
本当に再起動をかけたいくらい恥ずかしいからだ。
口調までもが、おかしなことになってしまった。
自分で言っておきながら、穴があったら入りたい。
カウンターの木目がやけに鮮明に見える。
しばらく沈黙が落ちた。
店内のざわめきが、逆にこの席だけを囲っているみたいだった。
あの信号機のキーホルダーが揺れるたび、どうでもいいことで意識が持っていかれるから。
それを悟られないように、私は“仕事の顔”をかぶる。
きちんとした総務部員の顔。
冷静で、淡々としていて、誰にも特別な温度を見せない顔。
「避けてるんじゃないよ」
自分でも驚くくらい、声が静かだった。
「この間も言ったでしょ。“再起動”」
「…プロジェクター?」
思い出したかのように、迅和くんが聞き返す。
「そうそう。もうね、毎日、毎回、再起動してるの、自分を」
「なんで?」
今度は、彼のほうが口にした“なんで?”に、やっぱり自覚ないんだなぁ、と思って半分笑ってしまった。
「会社で迅和くんと目が合ったり、なにか話したり、ちょっとやさしくしてくれたり。それだけで心拍数が爆上がり、からの、キャパオーバー」
言ってから、遅れて熱が上がる。
「そんなわけで、今もだいぶ再起動したい所存であります」
もう、私は彼の顔を見れない。
本当に再起動をかけたいくらい恥ずかしいからだ。
口調までもが、おかしなことになってしまった。
自分で言っておきながら、穴があったら入りたい。
カウンターの木目がやけに鮮明に見える。
しばらく沈黙が落ちた。
店内のざわめきが、逆にこの席だけを囲っているみたいだった。



