塩キャベツをつまみながら、お向かいに座っている若い恋人と思しき男女を眺めた。
ずーっとおしゃべりしている。ずーっと、ずーっと。
時折、目を合わせては肩を寄せ合い、そして見つめ合ったりしていた。
会話はなくても、私と迅和くんの空気は成立する。
それは前からの話なので、あまり気にしていない。
ただ、こうして賑やかなところへ来ると、私たちの温度を測りそうになってしまう自分がいた。
あのふたりみたいに、わかりやすく笑い合えたらいいのに、と一瞬だけ思う。
けれど、会社の蛍光灯の下で並んでいる私たちを思い出すと、胸の奥がきゅっとなる。
あそこであんなふうに目を合わせたら、きっと仕事にならない。
「…ほんとに?」
隣から、小さな声。
思考を読まれたみたいで、肩が揺れる。
「なにが?」
「避けてないって、絶対に言える?」
迅和くんはグラスを持ったまま、視線だけをこちらによこした。
「今日さ、三回くらい話しかけようとしてやめた」
「えっ」
「なんか、忙しそうっていうか…顔、固かった」
────ぐうの音も出ない。
忙しかったのは事実だ。見積りの数字が合わなくて、頭の中は容量オーバーだった。
でも、それだけじゃない。
ずーっとおしゃべりしている。ずーっと、ずーっと。
時折、目を合わせては肩を寄せ合い、そして見つめ合ったりしていた。
会話はなくても、私と迅和くんの空気は成立する。
それは前からの話なので、あまり気にしていない。
ただ、こうして賑やかなところへ来ると、私たちの温度を測りそうになってしまう自分がいた。
あのふたりみたいに、わかりやすく笑い合えたらいいのに、と一瞬だけ思う。
けれど、会社の蛍光灯の下で並んでいる私たちを思い出すと、胸の奥がきゅっとなる。
あそこであんなふうに目を合わせたら、きっと仕事にならない。
「…ほんとに?」
隣から、小さな声。
思考を読まれたみたいで、肩が揺れる。
「なにが?」
「避けてないって、絶対に言える?」
迅和くんはグラスを持ったまま、視線だけをこちらによこした。
「今日さ、三回くらい話しかけようとしてやめた」
「えっ」
「なんか、忙しそうっていうか…顔、固かった」
────ぐうの音も出ない。
忙しかったのは事実だ。見積りの数字が合わなくて、頭の中は容量オーバーだった。
でも、それだけじゃない。



