月が青く染まる夜に

時計を見ると、会議開始の十五分前。

プロジェクターの電源を入れておかなきゃ、と思い出してボタンを押す。
起動音が鳴ったものの、スクリーンに青い光。

身体を起こして、まじまじと表示されている文字を見つめる。

────No Signal

「……は?」

ちょっと待って。今はだめ。今じゃない。

ケーブルを押し込む。抜いて、差し直す。
もう一回電源。

青。青。ひたすら青。
どこまでも青い。
澄み渡るほどの青。

会議まで、あと十二分。

いやいやいや。
こんなに頑張って平常心でいようとしてるのに、どうしてこんな展開が?
そんなバランス調整いらない。


リモコンを操作。入力切替。HDMI1。HDMI2。
変わらない。
ひとりごとがこぼれる。

「なんで?」

ディスプレイ設定を開く。複製。拡張。

……何も起きない。
だめだ、焦ると余計に指が滑る。


そのとき、後ろでドアが開く音。

「お茶、持ってきたよ」

そうだ!と振り向くと、迅和くんがカゴにペットボトルのお茶を入れて戻ってきたところだった。

顔を見るのも恥ずかしい、とか思っていたのに、また違う感情。今日はもうとにかく忙しい。感情のうずまき。

「迅和くん、大丈夫じゃない!助けて!」

「えっ、どうしたの」

カゴを床に置いて、私のただならぬ様子に気づいたのか急いでこちらへ駆け寄ってきた。

「映らないの。信号がどうのって」

もはや焦りを隠せない声になってしまった。
なにしろ会議まであと十分。