温泉は広くて、湯気が高い天井に溜まっていた。
一日の緊張が、指先からほどけていく。
大浴場に私たち以外に会社関係者はおらず、もしかしたらみんな二次会へ行ったのかもしれない。
一般の宿泊客たちがまばらに入浴していた。
温泉に浸かって、二人同時に「気持ちいいー」と無意識に声が出た。顔を見合せて笑い合う。
「疲れたぁ。毎年のことだけど、研修がつらい」
「分かります」
「これがなければ最高の社員旅行なのになぁ」
“研修旅行”という名をつけられているくらいなので、目的が違うのは仕方ないことなのだが。
こればっかりは真奈美さんに同意する。
視界が湯気で曇るのを、ぼんやり眺めた。
「…紗菜ちゃん」
呼ばれたので、くるりと振り向く。
「タイミングは、今日なんじゃない?帰ったら、またいつもの忙しい毎日だよ?」
今日の真奈美さんは、手厳しい。
いつもの茶化す感じでもなく、ちゃんとアドバイスしてくるような。
「でも、どうやったら」と、本音が漏れる。
「学生でもあるまいし。大人同士なんだから、さっさとちゃんとくっつきなさいよ。見てるこっちがもどかしいわ」
「す、すみません」
そこまで言われると思ってなくて思わず縮こまると、私の様子を見てフフッと真奈美さんが吹き出していた。
湯上がり、脱衣所で浴衣の帯を結び直す。
ほかほかの身体のまま、ちょうど空いたドライヤースペースで髪を軽く乾かした。
適当にクリップで留めてまとめた。
一日の緊張が、指先からほどけていく。
大浴場に私たち以外に会社関係者はおらず、もしかしたらみんな二次会へ行ったのかもしれない。
一般の宿泊客たちがまばらに入浴していた。
温泉に浸かって、二人同時に「気持ちいいー」と無意識に声が出た。顔を見合せて笑い合う。
「疲れたぁ。毎年のことだけど、研修がつらい」
「分かります」
「これがなければ最高の社員旅行なのになぁ」
“研修旅行”という名をつけられているくらいなので、目的が違うのは仕方ないことなのだが。
こればっかりは真奈美さんに同意する。
視界が湯気で曇るのを、ぼんやり眺めた。
「…紗菜ちゃん」
呼ばれたので、くるりと振り向く。
「タイミングは、今日なんじゃない?帰ったら、またいつもの忙しい毎日だよ?」
今日の真奈美さんは、手厳しい。
いつもの茶化す感じでもなく、ちゃんとアドバイスしてくるような。
「でも、どうやったら」と、本音が漏れる。
「学生でもあるまいし。大人同士なんだから、さっさとちゃんとくっつきなさいよ。見てるこっちがもどかしいわ」
「す、すみません」
そこまで言われると思ってなくて思わず縮こまると、私の様子を見てフフッと真奈美さんが吹き出していた。
湯上がり、脱衣所で浴衣の帯を結び直す。
ほかほかの身体のまま、ちょうど空いたドライヤースペースで髪を軽く乾かした。
適当にクリップで留めてまとめた。



