月が青く染まる夜に

分かっているけど、あえて聞く私も私だ。
意地悪というか、可愛げのなさが露呈する。

「無理してました」と、あっけなく彼は素直だった。

「自分の工程を、過信してました」

受変電室の静かな空間に、声が落ちる。

「止めてもらって、助かりました。僕も、現場も」

胸が、きゅっと締まる。
言葉が少ない分、彼の言葉には他の人とは違う、きちんとした本音が濃縮されている。

「私は総務として判断しただけだよ」

そう言いながら、目が少し熱くなる。
────泣くな、今じゃない。
もう泣いたんだから、これ以上はだめ。

迅和くんは首を振る。

「違います。紗菜さんだから、止められました。……昨日も、気づいてたでしょう」

弾けるみたいに、即座に顔を上げた。
全部、この人は分かってる。その上で言葉をかけてる。

それを感じて、鼻がつんとした。
またポロッと涙が出てしまった。

「ごめん、迅和くん。私、嘘ついた。立場とか、いろいろ考えて、なかなか言えなくて。昨日もっと強く止めてたらよかった。頑張らないでほしかった。無理しないでって、言いたかったのに────」

「うん。ごめん」

言いたいことが、ぐちゃぐちゃになっているのに、彼は優しい顔をして私を見ている。
目を逸らさない。

彼の前では泣くもんかって思っていたのに、いったん緩んだ涙腺はどうにもならないらしい。
ただ、この今の瞬間の“うん。ごめん”は、本来の彼なんだと悟る。

片桐さんにしか見せていなかった、素の迅和くん。