月が青く染まる夜に

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停電作業が、無事に完了した。

午後には通常電源が復旧し、ビルに灯りが戻る。
予定より押していたものの、あのあと歯車が噛み合って結局は工程表の最後に記されていた時間に、すべて終了したのだった。


作業終了の確認ミーティングを終えて、関係各所が解散したあと、私は受変電室の片付けをしていた。

タブレットに記載されている器具や機材を仕分けし、台車に積んでいるとその荷物が横から伸びてきた手が支えてくれた。

「お疲れ様です、手伝います」

迅和くんが、重い機材を引き寄せて私に微笑んでいた。

いつもより少しだけ疲れた顔はしていたけれど、晴れ晴れとしていた。
重い案件をひとつ乗り越えた証。

「というか、僕がやります。紗菜さん、ずっと立っていたし、疲れたでしょう。もう帰って休んだ方がいいです」

自分の心配より、他人の心配。
そういうところが、彼のいいところでもあり、よくないところでもある。

「ここまで来たら、最後までやり遂げたいよ。ぜーんぶ終わらせてから、ゆっくり湯船に浸かるの」

なるべくいつもの口調で言い返すと、迅和くんは逆に申し訳なさそうな目をした。

「さっきは、すみませんでした」

私は一瞬、言葉を失う。

「……さっき、ってなにが?」