月が青く染まる夜に


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次に彼と接点が生まれたのは、忘れた頃だった。
おそらく最後に帰社した時に交わしたあの会話以来かもしれない。

午前中、メールチェックをして各部署や担当に振り分けたあと、現場からの報告書を確認して承認をもらうために資料をまとめている時だった。

同じフロアといえど部署ごとにデスクは島になっていて、若干の距離がある。
鎮座しているコピー機が、ある意味きちんと部署ごとに線引きをしている役目も果たしている。


そんなコピー機を背にいそいそと仕事をしていたら、背後からものすごく控えめな「佐藤さん」という呼び声が聞こえた。

反射的に後ろを見ると、迅和くんが立っていた。

「どうかした?報告書に不備でも?」

と投げかけると、熱量のない温度で返された。

「名刺を切らしてしまって。急ぎで何部か印刷お願いしてもいいですか」

「あ、了解。すぐやるね」


すぐにパソコンに向き直って彼の名刺があるフォルダを見つけて画面に表示する。