ううっ。頭痛がするし、目眩もする。なぜこんな事になったか。それは……。
「転校生を紹介します、天石さんです」
「天石咲希です。訳あってこの中学に転校する事になりました。よろしくお願いします」
一瞬の沈黙。あれ、やっちゃった?
「よろしくね天石さん!今日の休み時間遊ぼ〜」
「ねえねえ、どこから転校してきたの?」
「好きな動物って何?」
色々と質問攻めにされた私。先生は、「はいはい、みんな、天石さん困ってるわよ!離れて離れて!あ、先生職員室行ってくるわ」と教室を去った。すると、ザ・女王って感じの強気な女の子が現れた。
「ねえ、あんた、地味じゃない?オドオドしてるし、メガネがダサいし、女子力なーい。皆んな、よくこんなモブキャラと接するわね」
ご、ごめんなさい。
「で、でもこの子すごく性格良いし」
女子の一人が私をフォローしてくれる。
「は?私よりあんな地味子ちゃんがお好き?退学させるわよ」
そうしたら、フォローした女子は一気に青白い顔になり、すみません!という風に女王にお辞儀する。
「今日の休み時間は、裏庭に来て」
呼び出しか…。暴力を振るわれる事なんて分かっていた。でも、私は別に喧嘩は苦手じゃない。
「いいよ」
と私は承知する。女王はにやりと口角を上げた。
授業中も女王がこっちをチラチラ見てくる。なぜか興奮してしまった私は、女王の方を見て、笑った。
授業終了後の休み時間は、他クラスの生徒も他の教室に入って良い事になっているらしく、大賑わいだった。
裏庭に着き、周囲を見渡す。女王とその取り巻き達がいた。
女王の取り巻きの側近が、声を上げた。
「あの野暮ったい子いた!」
「ああ、来たのね。あんたは転校初日で皆んなに好かれてる。更には男子もね。なぜよ、なんで⁉︎」
何で?こっちが聞きたいです!
「分からない」
「ふうん。……二度と男子に顔見せできない様にしてあげるわ」
始まった。取り巻き達が私をものすごい形相で睨んでくる。
そこに、ある男子がやってきた。名前は知らない。男子には興味ゼロだから。
女王は途端に甘い目つきになり、その男子に近づく。
「こんにちは〜、ダイヤモンド様♡」
「……」
女王が近づいても男子は無言。スタスタと歩くその方向は、私ィ⁈
「君って天石咲希?」
「まぁ、そうですけど」
男子は一呼吸してから、女王に向き直る。
「あんた」
「はい♡」
「天石の事、虐めてただろ」
「いえいえ、全く!むしろ、彼女には優しくしてたぐらいです。裏庭でお喋りしてて」
ねぇ、と言う風に女王は私を見る。ぎこちなく首を縦にした私だったけど。
「お前、嘘つくな。顔に書いてある。……咲希、行くぞ」
グイグイ手首を引っ張る彼。いつもなら男子と聞けば警戒するんだけど、彼にはなぜか抗えなかった。体が少し安心していたから。
「転校生、一生覚えてなさいよ」
ギロリと女王は私を睨みつけたが、そんなの彼は気にせずに、前へ前へと進んでいった。
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴る。あ、そうだった、ここ、裏庭で、今、休み時間が終わったんだった!
「……大丈夫だったか」
「はい、大丈夫です。あの、助けて下さり、ありがとうございます、ダイヤモンドさん。ところで、貴方って、誰ですか」
「growのメンバー」
「grow?何ですか、それ?」
「クラスの奴に聞いてみて」
なんていう会話をして、私達は別れた。って!同じクラスじゃん、全然気づかなかった。
「あの、ちょっといい?」
早速聞いてみた。
「growってどういうグループなの?」
「し、知らないの⁉︎あ、そっか。転校してきたばかりだもんね。growっていうのは!」
いきなり声が大きくなった⁉︎
「私達も正直言ってよく分かんないよ。でも、モテ集団って事は皆んな知ってるの。顔面偏差値がエグいんだよ!それに個性が強すぎるし!女嫌いのクール系とか、紳士的なおぼっちゃまとか、チャラいけど憎めないオシャレさんとかね。暴走族っていうウワサもあるし、アイドルグループっていうウワサもあるの」
へ、へぇ……。とにかくすごいっていうグループなのは分かった。
「えっと、生徒会だったりする?」
「ううん。虹美中の生徒会なんて、本当にハイリスクな男子ばっかりなんだよ。おかげで崩壊寸前。あーあ、growが生徒会だったらいいのになぁ」
『ザッ』
誰?背中に冷や汗が流れる。もしかして、生徒会の皆さんだったりして。
「俺達生徒会、『darkness』は、生徒会に刃向かう者を排除する。口答えするな」
生徒会、生徒会長、じゃん!予想は悲しいことに当たってしまった。
「いた」
何が、いた?
「天石咲希は、この2年B組にいる。つまり、君だ」
すっと私を指さした生徒会長さん。
「天石は、この生徒会の女だ」
「そんな覚えはないです」
にやりと口角をあげ、生徒会長さんは言った。
「お前に反抗する権利はない」
「……誰が決めましたか?クラスのみんなが怯えてます、帰って下さい」
「帰ってって言われて帰ると思うか?来い」
強引に腕を引かれた。
「キャァァ!growよ!しかも全員!めちゃレア」
女子達はdarknessの事などあまり気にしていない様子で、growに夢中だっ。
ダイヤモンドさんはツカツカと生徒会に歩み寄る。
「darkness、やめろ。咲希が嫌がってる」
「はぁ?やめるわけないだろ!てめぇやんのか」
「ご期待に応えて」
や、やり合いが始まるよっ。
「み、みん、な!安全なところに避難して」
「うん!」
両者とも、睨み合う。そして、いよいよ始まった。
「咲希は、darknessのもんだ!growにやられる訳にはいかねえんだ」
「darkness、ああ、あの生徒会のやつか。悪いけど、咲希は、growの『姫』だから」
二人とも本気だ。結果は、ダイヤモンドさんの圧勝だ。す、すごい!
「ちっ、まだ、俺は諦めてねえからな!」
何を???
「咲希。心配した」
「あ、ありがとうございます!何を諦めてないんですか、会長さんは?」
「ん?ああそうか、咲希って無自覚で鈍感なんだよな、分からないに決まってるか」
私が、無自覚で、鈍感……⁈自分がめちゃくちゃ変だって事は知ってますが?というふうに悩んでいると、先生が教室に入ってきた。「何ですかこの騒ぎは!校長に言いつけますよ」
「父、校長は俺らがこういうグループだってのは知ってる。わざわざ言わなくていい」
威圧感に押された先生は、「ひ、すみません。じゃあ授業始めるね」と怖気付く。
次は数学だ。あんまり得意じゃなんだけど……。
「えー、皆さん。転校生のお嬢様もいらっしゃるので、もう一度ご挨拶をします。数学担任の荏原です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
私は自分のペンを持とうとする。あ、あれ。ない、しまったはずなのに。
近くの女の子達がクスクス笑う。あの子達が隠したんだろうな。
「私のペン、返してね」
自分でも驚くくらい、穏やかだけど冷徹な声が出る。
「う、うん」
でも、まだ続きそうだよね。人気者の男子に誰かがチヤホヤされてたら、虐めたくなるらしい。私にはさっぱり分からないけど。
「これは難問です。解る人いますか?」
うーん。図に整理して考えてみる。……解った。
「はい」
私が手を挙げると、みんなが眉をひそめる。「え、マジで?」「自分はこんなに良くできるのって言いたいんじゃない?」
「●●です」
「正解です。どうやって考えましたか」
「えっと、こうして……」
先生はフリーズし、「よろしい」と呟いて次の問題を書き始めた。
帰りは雨だった。緊張のせいで足どりも気持ちも重くなっていたが、無事に家に帰れた。
「——ただいま」
「おかえり、咲希。学校、友達できた?」
「全くできなかった。みんな、有名な企業の令息や令嬢だったの。セレブ学園」
お母さんはふふっと笑い、パンフレットをチラリと見る。
「そういえば、煌輝学園って全寮制だったわよね。咲希はどうなるのかしら」
「分からない。男子も女子もグループに分かれてて、それぞれのグループで生活するみたい。明日、先生に聞いてくる。……聞いてみる」
「頑張ってね。咲希は、いいところいっぱいあるから、きっと友達が寄ってきてくれると思う」
「転校生を紹介します、天石さんです」
「天石咲希です。訳あってこの中学に転校する事になりました。よろしくお願いします」
一瞬の沈黙。あれ、やっちゃった?
「よろしくね天石さん!今日の休み時間遊ぼ〜」
「ねえねえ、どこから転校してきたの?」
「好きな動物って何?」
色々と質問攻めにされた私。先生は、「はいはい、みんな、天石さん困ってるわよ!離れて離れて!あ、先生職員室行ってくるわ」と教室を去った。すると、ザ・女王って感じの強気な女の子が現れた。
「ねえ、あんた、地味じゃない?オドオドしてるし、メガネがダサいし、女子力なーい。皆んな、よくこんなモブキャラと接するわね」
ご、ごめんなさい。
「で、でもこの子すごく性格良いし」
女子の一人が私をフォローしてくれる。
「は?私よりあんな地味子ちゃんがお好き?退学させるわよ」
そうしたら、フォローした女子は一気に青白い顔になり、すみません!という風に女王にお辞儀する。
「今日の休み時間は、裏庭に来て」
呼び出しか…。暴力を振るわれる事なんて分かっていた。でも、私は別に喧嘩は苦手じゃない。
「いいよ」
と私は承知する。女王はにやりと口角を上げた。
授業中も女王がこっちをチラチラ見てくる。なぜか興奮してしまった私は、女王の方を見て、笑った。
授業終了後の休み時間は、他クラスの生徒も他の教室に入って良い事になっているらしく、大賑わいだった。
裏庭に着き、周囲を見渡す。女王とその取り巻き達がいた。
女王の取り巻きの側近が、声を上げた。
「あの野暮ったい子いた!」
「ああ、来たのね。あんたは転校初日で皆んなに好かれてる。更には男子もね。なぜよ、なんで⁉︎」
何で?こっちが聞きたいです!
「分からない」
「ふうん。……二度と男子に顔見せできない様にしてあげるわ」
始まった。取り巻き達が私をものすごい形相で睨んでくる。
そこに、ある男子がやってきた。名前は知らない。男子には興味ゼロだから。
女王は途端に甘い目つきになり、その男子に近づく。
「こんにちは〜、ダイヤモンド様♡」
「……」
女王が近づいても男子は無言。スタスタと歩くその方向は、私ィ⁈
「君って天石咲希?」
「まぁ、そうですけど」
男子は一呼吸してから、女王に向き直る。
「あんた」
「はい♡」
「天石の事、虐めてただろ」
「いえいえ、全く!むしろ、彼女には優しくしてたぐらいです。裏庭でお喋りしてて」
ねぇ、と言う風に女王は私を見る。ぎこちなく首を縦にした私だったけど。
「お前、嘘つくな。顔に書いてある。……咲希、行くぞ」
グイグイ手首を引っ張る彼。いつもなら男子と聞けば警戒するんだけど、彼にはなぜか抗えなかった。体が少し安心していたから。
「転校生、一生覚えてなさいよ」
ギロリと女王は私を睨みつけたが、そんなの彼は気にせずに、前へ前へと進んでいった。
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴る。あ、そうだった、ここ、裏庭で、今、休み時間が終わったんだった!
「……大丈夫だったか」
「はい、大丈夫です。あの、助けて下さり、ありがとうございます、ダイヤモンドさん。ところで、貴方って、誰ですか」
「growのメンバー」
「grow?何ですか、それ?」
「クラスの奴に聞いてみて」
なんていう会話をして、私達は別れた。って!同じクラスじゃん、全然気づかなかった。
「あの、ちょっといい?」
早速聞いてみた。
「growってどういうグループなの?」
「し、知らないの⁉︎あ、そっか。転校してきたばかりだもんね。growっていうのは!」
いきなり声が大きくなった⁉︎
「私達も正直言ってよく分かんないよ。でも、モテ集団って事は皆んな知ってるの。顔面偏差値がエグいんだよ!それに個性が強すぎるし!女嫌いのクール系とか、紳士的なおぼっちゃまとか、チャラいけど憎めないオシャレさんとかね。暴走族っていうウワサもあるし、アイドルグループっていうウワサもあるの」
へ、へぇ……。とにかくすごいっていうグループなのは分かった。
「えっと、生徒会だったりする?」
「ううん。虹美中の生徒会なんて、本当にハイリスクな男子ばっかりなんだよ。おかげで崩壊寸前。あーあ、growが生徒会だったらいいのになぁ」
『ザッ』
誰?背中に冷や汗が流れる。もしかして、生徒会の皆さんだったりして。
「俺達生徒会、『darkness』は、生徒会に刃向かう者を排除する。口答えするな」
生徒会、生徒会長、じゃん!予想は悲しいことに当たってしまった。
「いた」
何が、いた?
「天石咲希は、この2年B組にいる。つまり、君だ」
すっと私を指さした生徒会長さん。
「天石は、この生徒会の女だ」
「そんな覚えはないです」
にやりと口角をあげ、生徒会長さんは言った。
「お前に反抗する権利はない」
「……誰が決めましたか?クラスのみんなが怯えてます、帰って下さい」
「帰ってって言われて帰ると思うか?来い」
強引に腕を引かれた。
「キャァァ!growよ!しかも全員!めちゃレア」
女子達はdarknessの事などあまり気にしていない様子で、growに夢中だっ。
ダイヤモンドさんはツカツカと生徒会に歩み寄る。
「darkness、やめろ。咲希が嫌がってる」
「はぁ?やめるわけないだろ!てめぇやんのか」
「ご期待に応えて」
や、やり合いが始まるよっ。
「み、みん、な!安全なところに避難して」
「うん!」
両者とも、睨み合う。そして、いよいよ始まった。
「咲希は、darknessのもんだ!growにやられる訳にはいかねえんだ」
「darkness、ああ、あの生徒会のやつか。悪いけど、咲希は、growの『姫』だから」
二人とも本気だ。結果は、ダイヤモンドさんの圧勝だ。す、すごい!
「ちっ、まだ、俺は諦めてねえからな!」
何を???
「咲希。心配した」
「あ、ありがとうございます!何を諦めてないんですか、会長さんは?」
「ん?ああそうか、咲希って無自覚で鈍感なんだよな、分からないに決まってるか」
私が、無自覚で、鈍感……⁈自分がめちゃくちゃ変だって事は知ってますが?というふうに悩んでいると、先生が教室に入ってきた。「何ですかこの騒ぎは!校長に言いつけますよ」
「父、校長は俺らがこういうグループだってのは知ってる。わざわざ言わなくていい」
威圧感に押された先生は、「ひ、すみません。じゃあ授業始めるね」と怖気付く。
次は数学だ。あんまり得意じゃなんだけど……。
「えー、皆さん。転校生のお嬢様もいらっしゃるので、もう一度ご挨拶をします。数学担任の荏原です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
私は自分のペンを持とうとする。あ、あれ。ない、しまったはずなのに。
近くの女の子達がクスクス笑う。あの子達が隠したんだろうな。
「私のペン、返してね」
自分でも驚くくらい、穏やかだけど冷徹な声が出る。
「う、うん」
でも、まだ続きそうだよね。人気者の男子に誰かがチヤホヤされてたら、虐めたくなるらしい。私にはさっぱり分からないけど。
「これは難問です。解る人いますか?」
うーん。図に整理して考えてみる。……解った。
「はい」
私が手を挙げると、みんなが眉をひそめる。「え、マジで?」「自分はこんなに良くできるのって言いたいんじゃない?」
「●●です」
「正解です。どうやって考えましたか」
「えっと、こうして……」
先生はフリーズし、「よろしい」と呟いて次の問題を書き始めた。
帰りは雨だった。緊張のせいで足どりも気持ちも重くなっていたが、無事に家に帰れた。
「——ただいま」
「おかえり、咲希。学校、友達できた?」
「全くできなかった。みんな、有名な企業の令息や令嬢だったの。セレブ学園」
お母さんはふふっと笑い、パンフレットをチラリと見る。
「そういえば、煌輝学園って全寮制だったわよね。咲希はどうなるのかしら」
「分からない。男子も女子もグループに分かれてて、それぞれのグループで生活するみたい。明日、先生に聞いてくる。……聞いてみる」
「頑張ってね。咲希は、いいところいっぱいあるから、きっと友達が寄ってきてくれると思う」

