12人と私のハチャメチャ寮生活! ➊輝石の12人のジュエル達

パチっと目が覚める。中1の時に買ってもらったスマホで時間を確認すると、6時だった。

家は学園に結構近いから、まだまだ時間がある。

朝の眩しくて暖かい空気が鼻に流れ込んでくる。ゆったりとした朝だ。

それに比べ、私の頭は焦りと不安で埋め尽くされている。心だって曇り空だ。

「お姉ちゃん」

そっとドアを開けて入ってきたのは、私の弟、天石琉希だ。

「起きてたんだ、琉希も。おはよう」

「おはよう。お姉ちゃん、学校どうだった?」

想像を超えたセレブ学園で、みんなプライドが高くて……。なんて言えない。

「うん。友達も出来たし、先生達の印象も良かったよ」

「そっか。僕の学校も、楽しかった」

小5の琉希の通っている小学校は、煌輝小学校。私が通っている煌輝中学校は、小中高大一貫校。

「お姉ちゃん、顔にクマができてるよ。寝たの?」

「うん、まあね。3時間ぐらいしか寝てないんだけど」

「僕、お姉ちゃんが体調悪くなったら嫌だから」

琉希は私のベッドに座った。

「心配してくれてありがとう。ごめんね、頼りないお姉ちゃんで」

「そんなことないよ。自慢のお姉ちゃんだよ。文武両道だし、可愛いし」

可愛い……。そんなこと言われると、恥ずかしいよ。

お父さんと琉希はカッコいい。お母さんも美人。私だけ不細工だ。気を遣ってくれて、申し訳ないよ。

琉希は気遣いが出来て、自慢の弟だよ。なんて恥ずかしくて言えない。でも、感謝してるよ、琉希。

「褒めてくれて、どうもありがとうございます。これからも頑張ります」

「なんで敬語?そこも可愛いところだけどさ」

や、やめて……。そんなに真剣に言われると、こっちが嬉しくて胸が苦しくなるから。

「やっぱお姉ちゃん、悩みあるでしょ」

鋭い……!

「あるけどさ、あ、ほら、琉希といっぱい話してたら朝ご飯の時間になっちゃった、リビング行こう」

誤魔化しているのが、分かられている。誤魔化しが下手なのも、バレバレだ。


ご飯を食べ終えて、ドアに手をかける。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃーい」

さっきからずっと私の心が晴れ渡らなかったのも、華鈴ちゃんの事をめちゃくちゃ気にしてたからだ。


学校に着いた。昨日雨が降っていたからか、じめっとした空気が流れていた。

私は迷わず裏庭に向かう。

「華鈴ちゃん、大丈夫?!」

華鈴ちゃんが振り向く。黒いパーカーを羽織った強面の男の人達に囲まれている。その男の人達の胸の紋章を見て、ドキッとする。

『darkness』

darknessは、私でも知っている。ハイリスクなグループだ。

もしかして、華鈴ちゃんに手をあげたとか……!

「あ、咲希ちゃん。きてくれてありがとう」

ふんわりとした笑顔の華鈴ちゃんを見て、ホッとする。でも、パーカー集団に囲まれているって、どういう状況?

「この人達は、darkness」

「華鈴は、darknessの姫だ」

姫?華鈴ちゃんならなれると思うけど、姫って何?

「姫って何?」

「咲希ちゃんは知らないか。ちょっと恥ずかしいけど、グループには、『姫』っていう役割を持った女の子がいてね。姫は、グループのリーダー、いわゆる総長とその周りの男子達と一緒にいるの」

「へ、へぇぇ。具体的には何するの」

「ん?基本的に何々っていうのは決まってないよ。溺愛されたり、まあ普通にいい暮らししたりって感じ。グループによって様々」

私には手なんて届かない、美しくて強い人がなるんだな……。

「俺らは、glowを敵としている。あっちも同じだ。華鈴の友達、お前は、関わんない方がいい」

「私はglowを特に何も思ってない。ほっとけ〜ってね」

待って。私は、glowと同じ寮で同居するんだよね?四六時中一緒じゃん!

口が裂けても言えない。

「麗香さんには暴力振るわれた?」

「ちょっとだけ。でも、darknessのみんなが守ってくれた」

「そっか。なら良かった。じゃあね!」

「また教室で!」

歩きながら私は考えた。パニック状態だよ、もう!華鈴ちゃんが姫ってどういうこと?!