慣れた様子の兎仁くんが、鼻歌を歌いながら板チョコを砕いていく。
「兎仁くん器用だ…」
「萌那が不器用なだけじゃない?」
酷い。
でも、その通り。
板チョコを砕くのは割と最初の段階らしいんだけど、私はこの時点で半数が消失していた。
うん、本当になんで?
「じゃあ、萌那手伝ってー」
「はい!?」
水が川を流れていくかのように、スムーズな動作に見惚れていると、兎仁くんが満面の笑みで爆弾を落とす。
どうしよう。
兎仁くんの努力を無駄にする自信しかない。
「はい、ヘラ持って!」
「うん…」
差し出されたヘラを泣く泣く掴むと、その上から、私の手を包むように兎仁くんがぎゅっと握る。
じんわりと、チョコが溶けそうなくらいの温度が伝わってくる。
「さすがの萌那でも、僕と一緒なら失敗する訳ないでしょ〜」
「ふふっ」
自信たっぷりのその言葉に身を委ねるようにして、2人で甘い甘いチョコを混ぜた。



