その合間に騎士達との鍛錬があったり、ハンスから目を通して欲しいと言われた執務をこなされたり、私はフランツ様とゆっくりとした時間をとることが出来なくなっていた。
「モニカ……。やはり私は、何かフランツ様のご気分を……」
せっかく心を重ね合う事が出来たのに、私はもう、フランツ様に失望されてしまったのだろうか。
「それはありません!」
モニカが大きな声で断言する。
「今朝もフランツ様は、デザートのパイを嬉しそうに食べるニーナ様の横顔を、幸せそうに見つめていらっしゃいました。その眼差しは、愛しくて仕方ない人を見つめる視線でしたから」
モニカの言葉に、頬がカッと熱くなる。
だとすれば、フランツ様はお一人で何をされているのだろう。夜も考え込むように自室に篭られて、私はしばらくお部屋に招かれていない。
ご本人に、伺っていいのだろうか──。
悩む私だったけれど、その日の夕食の席でフランツ様から声を掛けてもらえた。
「ニーナ。君に、見てもらいたいものがある。この後、君の部屋にいくから待っていて欲しい」
そう言って笑ったフランツ様に、私も安堵の笑みを浮かべる。
「ニーナ様、良かったですね。きっと城の近くには咲いていない花を、ニーナ様の為に見つけて来て下さったのですよ。それでは、私は失礼いたしますね」
モニカが微笑んで、私の部屋を後にした。

