わたしの秘密のキューピット


◇◇◇

 学校に着いてカバンの中身を整理していると、わたしのあとに登校してきた高橋くんが、朝一番に話しかけてきた。

「おはよう」

 にこっと笑う高橋くんの口から、ちょこっと八重歯が覗く。

 爽やかな笑顔に、朝から心臓がドクンと大きく高鳴った。

 昨日の放課後は一緒に帰ったし、家に帰ったあとは夜寝る直前までメッセージを送り合ってた。

 それなのに、直接顔を合わせると少し緊張する。

 間近で見る高橋くんは、やっぱりかっこいいから。

「おはよう」

 うつむき気味に挨拶を返すと、カバンを置いた高橋くんがわたしの机の前に立つ。

 いつもなら、すぐに友達のところに話に行っちゃうのに。

 顔をあげると、机に軽く両手をついた高橋くんと、クラスメートにしては近すぎる距離で目が合った。

 え、近い……。

 ドギマギしながら視線を泳がせていると、高橋くんがクスッと笑う。

「武部さん、今日部活ないんだよね?」
「うん」
「今日、おれ、部活基礎練だけだから。一緒に帰らない?」

 小首をかしげる仕草すらかっこよく見える高橋くんの誘いを断れるはずがない。