わたしの秘密のキューピット


 うつむいてため息を吐くと、わたしの前に回り込んだユーコが下からぬーっと顔を出してきた。

 ユーレイみたいな行動に驚いて、思わず肩がビクついてしまう。

「紗良ちゃん。ため息吐きながらネガティブなこと言ってたら、幸せも逃げちゃうよ」
「もうとっくに逃げちゃったよ」
「まだ挽回できるって」
「手遅れだよ」

 ふいっと顔をそらしたら、ユーコがその動きに合わせてふわっとわたしの正面に移動してくる。

「あたしは、高橋くんが怒ってるのは紗良ちゃんが送ったメッセージそのものじゃないと思う。だって紗良ちゃん、高橋くんからの返事が来る前にそのメッセージ削除したんでしょ」
「そうだよ。既に読まれたあとだったけど、気持ち悪いメッセージ残しておけないもん」
「高橋くんも、どう返事するか迷ってたのかも」
「そりゃ、そうだよ。わたしからあんなメッセージきて困ってたはず」
「そうだね。もしあたしが、気になってる人から紗良ちゃんが送ったみたいなメッセージが送られてきたら、舞い上がっちゃって返す言葉に迷うかも。嬉しいって気持ちは伝えたいけど、向こうは友達として『同じクラスになりたい』って思ってるだけかもしれないでしょ。だから、重すぎず、そっけなさすぎずの言葉にするにはどうすればいいかな、ってすっごい考えると思う」
「…………うん」
「返事を考えてる途中に、メッセージを消されてなかったことにされたらショック。しかも次の日、変なメッセージ送ってごめんとか言われたら、絶望的な気持ちになる」
「……え?」

 ユーコの言い方はまるで、高橋くんが少しくらいはわたしに好意を持ってくれていたみたいだ。

 そんなことあるはずないのに。