わたしの秘密のキューピット


 学校に行くと、また机の上に授業ノートのコピーが置いてあった。

 高橋くんと挨拶すら交わすことがなくなってから三日が過ぎた。

 それでも毎朝、わたしの机の上には、教科ごとにクリップでまとめたノートのコピーが置いてある。

 ユーコの話によると、部活の放課後練習のあとや朝練の前にこっそり置いてくれているらしい。

「どうしてこんなことしてくれるんだろう……」

 理由を聞きたいしお礼も言いたいけど、目が合いそうになったらうまく逸らされてしまうから、高橋くんに近付けない。

 お礼のメッセージを送ればいいけど、高橋くんと気まずくなったキッカケもわたしが送ったメッセージ。

 だから怖くて連絡できない。

「だいぶ治ってきたとはいえ、まだうまく右手使えないでしょ。高橋くんは紗良ちゃんのこと、心配してくれてるんだよ」
「まさか。変なメッセージ送っちゃってから、ずっと避けられてるんだよ」
「高橋くんが紗良ちゃんに話しかけてこなくなったのって、ほんとうにそのメッセージが原因なのかな?」
「そうに決まってるよ。そのメッセージを送ったあと、高橋くんからのメッセージも途絶えちゃったし。たいして仲良くもないのに、同じクラスになりたいって言ったから気持ち悪がられたんだよ……」

 あんなメッセージを送ったことを激しく後悔している。

 わたしがおかしなことをしなければ、高橋くんと気まずくなることはなかったかもしれないのに。