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高橋くんとの接点がなくなった次の日の朝。
落ち込んだ気持ちで学校に行くと机の上に昨日の分のノートのコピーが置いてあった。
一時間目から六時間目まで。
科目ごとにクリップでまとめて留めてある。
aとu、4と9の区別がつかない。あまり綺麗とは言えない文字は、まぎれもなく高橋くんのものだった。
「それね、高橋くんが部活の朝練の前に教室に来て、紗良ちゃんの机に置いて行ったよ」
ノートのコピーを手にとって見つめていると、ユーコがふわふわとわたしの元に飛んできた。
「どうして?」
「さぁ、どうしてなんだろうね?」
意味ありげに笑うユーコは、わたしにはっきりとした答えをくれない。
昨日は高橋くんとほとんど会話できなかったし、目も合わせてもらえなかったのに……。
断ったはずのノートのコピーをわざわざ置いてくれた意味がわからない。
ケガが治るまでって約束した責任感からなのかな。
それだったら、本当にもう必要ないのに。
理解できない高橋くんの優しさが、胸に沁みて痛かった。



