わたしの秘密のキューピット


◇◇◇

 高橋くんとの接点がなくなった次の日の朝。

 落ち込んだ気持ちで学校に行くと机の上に昨日の分のノートのコピーが置いてあった。 

 一時間目から六時間目まで。

 科目ごとにクリップでまとめて留めてある。

 aとu、4と9の区別がつかない。あまり綺麗とは言えない文字は、まぎれもなく高橋くんのものだった。

「それね、高橋くんが部活の朝練の前に教室に来て、紗良ちゃんの机に置いて行ったよ」

 ノートのコピーを手にとって見つめていると、ユーコがふわふわとわたしの元に飛んできた。

「どうして?」
「さぁ、どうしてなんだろうね?」

 意味ありげに笑うユーコは、わたしにはっきりとした答えをくれない。

 昨日は高橋くんとほとんど会話できなかったし、目も合わせてもらえなかったのに……。

 断ったはずのノートのコピーをわざわざ置いてくれた意味がわからない。

 ケガが治るまでって約束した責任感からなのかな。

 それだったら、本当にもう必要ないのに。

 理解できない高橋くんの優しさが、胸に沁みて痛かった。