わたしの秘密のキューピット


 夜ごはんとお風呂を済ませると、わたしは部屋のベッドで正座した。

 膝の前に置いた数学のノートを開き、そこに書かれたあまり上手とは言えない高橋くんの字を見つめて深呼吸する。

 それからノートの横に並べて置いていたスマホを拾い上げると、ドキドキしながらメッセージアプリを開いた。

 今日こそは、絶対にメッセージを送ろう。

 そう決意して、友達のリストの中から高橋くんのアイコンを選んだまではいいものの。

 スマホの画面に軽くのせた指が動かない。

 これが小春や家庭科部のメンバーだったら、勝手に指が動いて、くだらないメッセージを送り合うことができるんだけどな。

 スマホをノートの横に置いたわたしは、大きなため息をこぼした。

 右手をケガしてそろそろ一週間。

 高橋くんはわたしの分のノートを書いてくれているし、授業の休み時間の度に話しかけてきてくれる。

 ノートを受け渡したら、クラスメートの誰かに呼ばれてどこかに行ってしまうことが多いけど。それでも、この一週間で高橋くんとたくさん話せた。

 だけど、まだ交換した連絡先にメッセージは送れてない。