高橋くんと話すチャンスを逃したことばかり気にするユーコを薄情者だって思ったけど。ケガのこともちゃんと心配してくれていたらしい。
それなのに……。
『ユーコだってどうせわたしを利用してるだけでしょ』とか、『不純な気持ちでわたしに取り憑いてる』とか。
わたし、けっこうひどいことを言っちゃったな。
「あのさ、朝はひどいこと言ってごめん」
立ち止まって振り向くと、わたしの後ろをふわふわとついてきていたユーコが驚いたようにまばたきする。
「次に高橋くんと話すチャンスができたときは、逃げ出さずにもう少し頑張ってみる」
小声でそんなふうに宣言すると、ユーコが嬉しそうにパッと笑った。
「紗良ちゃん、えらい!」
小さい子を褒めるみたいな褒め方をされて、ちょっと恥ずかしい。
だけど、嬉しそうなユーコの顔を見たら、ほんとうに、少し頑張ってもいいかなという気持ちになれた。
ユーコと仲直りして(ユーコのほうは朝のことをケンカとも思ってなかったみたいだけど)保健室に行くと、保健室の先生はわたしの手首に触れた瞬間に顔をしかめた。
「だいぶ腫れてるね。骨折かもしれないから、すぐに病院に行って診てもらったほうがいいかも」
迎えに来てくれたお母さんに連れられて病院に行くと、わたしのケガは中度の捻挫だと診断された。
ちょっと大げさなくらいに包帯を巻かれると、完治まで二週間の安静を言い渡されてしまった。



