わたしの秘密のキューピット

 二月の夕方。

 冷たくなった手を擦り合わせながらドキドキしていると、サッカー部の生徒たちがぞろぞろと部室に戻ってくる。

 そのなかに、わたしの片想いの相手、高橋くんもいた。

 高橋くんは、同じクラスでサッカー部の富谷くんと話しながら楽しそうに笑っている。その笑顔にドキッとしながら、ちょっと迷った。

 どのタイミングで声かけよう。

 友達と話してるときに、いきなり声をかけたらビミョーかな?

 そんなことを考えているうちに、高橋くんが富谷くんと一緒にわたしのそばを通り過ぎていく。話すのに夢中な高橋くんは、もちろんわたしの存在には気付いてない。

 どうしよう……。

 絶対に告白すると決めてきたはずなのに、いざとなったら決心が鈍る。

 せっかくうまくクッキーが焼けたし、ラッピングも可愛くできたんだし。頑張らなきゃ。

 心の中で気合を入れ直して一歩前に踏み出そうとした、そのとき。

楓真(ふうま)ー!」

 後ろから声がして、一人の女の子がわたしの横を通り過ぎていく。