「逆転劇ってのをやってみたいわけ」
水瀬のそんな提案にぱっと浮かんだのは『面倒』『面白くなさそう』『なにそれ』の三つである。
それ以前に、わざわざ俺に提案する理由が分からん。
「逆転劇っていうのは『敗者とか弱者とかがどんどん上に上がってく』ってやつね」
水瀬は聞かれてもいないのにべらべら説明している。
「だけどさ、俺って負け組でも弱くもないから主人公にはなれないわけ。俺が主人公になったら逆転劇にならなくて困っちゃうじゃん?」
自慢そうに言っているが、そうなのか?
水瀬が主人公になったらいろんな意味で困るのは確かだが、ここまで語彙力・常識・思考力がないやつが負け組じゃないと?
だから、と水瀬は腕まくりをする。
嫌な予感。水瀬と行動するようになってから嫌な予感センサーが敏感になってきている。
「俺じゃなくて悠を逆転劇の主人公にすればいいんじゃないか、って思いついたわけ。天才じゃない?」



