「そのことなんですが」
水瀬と俺を部屋の端へ連れて行った委員長は、ブレザーのポケットからなにかを取り出した。
水瀬の学生証。さすがにマジック――ではないか。
「これ、お借りしました。書類の作成の関係でどうしても必要で。もう終わったのでお返しします」
「……あ、ありがとう?」
「そうそう、水瀬くん、こういうものはリュックのポケットに入れちゃダメですよ。水瀬くんの場合、はみ出してましたし。私は『ちょっと借りよう』と思っただけですが、ほかの人は『悪用しよう』と思うかもしれませんし」
「委員長、どっちにしろ勝手に取ったら変わりないからね?」
水瀬は学生証を受け取る。これで一件落着だ。
貴重品の扱い方は引っかかったが、それはあとから話せばいいことだろう。
「じゃあ、俺たちはここで――」
「話はもう一つあるんです。水瀬くん、ちょっといいですか?」



