「や、絶対やめてください。それは勘弁で」
ギャル先輩が仲間を引き連れて「やっほー、しのっちいる?」と教室に入ってくるところを想像した。やると決めたら本当にやりそうで怖い。
ギャル先輩は再び巻かれ始めた髪をくるくると触りながら、首をかしげた。
「颯良、今日はどしたし〜? なんかあった?」
「それが、俺の学生証がなくなって……」
「え、大変じゃん! でも、ウチは知らないな〜。それよりもさ、三年の間で流れてるウワサ、知ってる?」
水瀬の質問にさらっと答えたギャル先輩は、すぐに話題を変えた。
「猫を追いかけて爆走して、最終的にサバ缶漬けにしたとか、不良の後輩を手懐けたのに、その後輩と校舎裏で牛乳一気飲みしてるとか〜」
ギャル先輩は屈託なく笑いながら言うが、内容の半分がえげつないな……ウワサには尾ひれがつくってこういうことか?
それに、校舎裏で牛乳一気飲み――水瀬も言っていたが、これが世の中の不良への偏見の実態なのか……?



