先生の声を聞くと、水瀬は生活指導教師に用はないとばかりに目を移した。
「ちーちゃん! あのさ、俺の学生証がなくなって、探してるとこなんだけど」
「……あれ? 私、今日集めなかったっけ? 情報更新するからって。持ってるはずだけど」
水瀬にちゃん付けで呼ばれた千鳥先生は、小走りでデスクに戻った。書類の山をあさり、見つけたそれを掲げる。
「ほら、あったよ! 明日になったら返せると思うけど、すぐ必要?」
「え、マジ? 俺の勘違いだったってことか。ちーちゃんありがと!」
「全然。私もよくあったな、なくしたこと。教科書に挟まってたこともあったし、スマホケースに入ってたこともあったし……懐かしい!」
「へぇ、ちーちゃんすごっ! なくしものの猛者じゃん!」
……お前もな。先生に出したことくらい覚えてるだろ。
まあ、想定より早く見つかったし……これはこれでいっか。
「ねー悠、俺の学生証知らない?」



