いつだったか、水瀬が「動くとちょーっとずつカツラがずれる」と言っていたのを思い出したのだ。
……おぉ、本当だ。数ミリずつ、たしかにずれてる――あ、さり気なく直したな。
「――篠原! お前はなにをしてる?」
「え、別になにもしてないですけど」
「じゃあそのダサいにやけ面はなんだ?」
危ない、バレるところだった――というかバレた。
とにかく、口元を引き締める。
「大体な、お前が水瀬の面倒を見なくちゃいけないんだぞ。相棒として、指導をする必要があるからな。そのお前がこんなにだらしなかったら話にならん」
それ全く知らなかったんですけど。俺は水瀬のお世話係なのか? そもそもこれって先生からの八つ当たりなのでは?
反論を試みようとしたとき、生活指導教師の後ろから水瀬の担任である千鳥先生が顔を出した。
「水瀬くんじゃない。どうしたの?」



