「学生証なくしたから、探すの手伝ってくれない?」
俺はまだ知らなかった。今週、あと二回もこのセリフを聞くことになるなんて。
月曜日、水瀬は俺に騒動の始まりを告げた。
普通なら、なにやってんだこいつ、で終わる話だが、俺はそれを聞いて納得した――妙に慌てていたからな、水瀬。
……でもやっぱり、納得は取り消す。
いくらそれが小さいとはいえ、この年になって貴重品をなくしたと聞いて「はいそうですか」とも「じゃあ手伝ってあげよう」とも言えないな。
「ねえ悠、俺の学生証、見てない?」
水瀬はしきりに顔の前で指を動かして、横長の長方形を描いていた。パントマイムだ。
俺が学生証を知らないとでも? ……なめられたものだな。
「見てない。知らん。とにかく、俺は見回りするからな」
前の水瀬をするりと避けた。が、水瀬は素早く回り込んで再び俺の前に立つ。
やれやれとため息をつき、



