ただでさえ忙しいのに、こんなにも大変な水瀬を押し付けるのはさすがに非人道的すぎる。見逃すわけにはいかない。
「だってさ、玲央に勝つためにはあれくらいの眼力と低音ボイスが必要なんだろ? となると、不良になるしか」
「なんで不良後輩に対抗心燃やすんだよ。それ以前に、まずはその低い学力から叩き直したらどうだ」
「成績は悪くないし」
じゃあなんで1年の数学の問題が解けなかったんだろうな。
隣を歩く水瀬をちらりと見てから、ああ委員長に今日のこと報告しなくちゃいけないなと思い、その報告内容を考えるついでに水瀬に質問した。
「なあ水瀬、また不良後輩のところ、行くか?」
「行くに決まってるだろ! 次会うまでに玲央の身長を越して、『お? ちっちゃいな?』って言わなくちゃ気がすまないし――」
さすが即答の水瀬。
不良の水瀬より、絶対に即答の水瀬の方がいいと、俺は思うね。



