空気が震えるような低い声に、誰から発せられた音なのか認識できなかった。
が、水瀬が顔を引きつらせているので、必然的に声の主は判明する――不良後輩だ。
今まで服装以外1ミリも不良味を出していなかった後輩が、ものすごい目つきで水瀬をにらみつけていた。
「今なんつった? ――ああ、間違えました、今なんて言いました?」
「な、なにも言ってないです……」
「そうですか。七海先輩をバカにされたような気がしたんですけど、完全に気のせいだったみたいですね。よかったです、もしそんなこと言われてたらなにしていたか分からないので」
「……悠、助けて」
「自業自得だし俺も不良後輩と同意見だから助けねえ」
「で、どうだった? 今日は」
風紀委員室に戻る途中の道で水瀬に聞くと、水瀬は考えてから、
「結論として、俺も不良になろうと思う」
「委員長の仕事を増やすな」



