「昨日、購買のパン、ラストの一つ奪ったって聞いたよ?」
「並んだら運よくゲットできました」
「夜中に校内全力疾走してたって」
「昼でもしません」
「じゃあ、校舎裏で牛乳一気飲みしてるっていうのも!?」
「……そろそろやめろ。お前の不良に対するイメージ、どうなってんだよ。偏見すぎるだろ」
水瀬の質問が斜めの方向に向かったところで口を挟んだ。
不良後輩はほっとしたように息をついて、水瀬は楽しくなさそうに口を尖らせる。
「なんだよ、全然不良じゃないじゃん! めっちゃ真面目なのになんでそんな格好してるわけ?」
「不良の名残です」
数にして十文字、たったそれだけの言葉だったが、とても優しい、そして愛おしそうな口調だった。
では、なぜ『不良の名残』が愛おしいのか。
……想像できそうにもねえ。
「その話、もうちょい詳しく話してくれないか。気になるんだが」



