ドアの近くに人影。
……あれ、なんでここに水瀬が?
「悠、委員長が呼んでるー。風紀委員室に来い、だって」
水瀬は空き教室のドアを開けて中に入ってきた。
俺と、離れたところに立っている春乃さんを見て「あ」とつぶやく。
「詩原じゃん。悪いんだけど、悠借りてっていい?」
「ちょっと待って、水瀬くん!」
俺を連れ出す気満々だった水瀬は足を止め、今がチャンスだとばかりに春乃さんは意を決して言った。
「水瀬くん、私に付き合ってください!」
感じた違和感は、気のせいだったかもしれない。赤くなった顔を見てそう思った。
「水瀬くんはとてもセンスがよくて、優しくて、だから、付き合ってほしいの。……ダメかな?」
それを受けて、水瀬は「これから見回り行かない?」「オッケー」という会話と同じくらいの軽さで答えた。
「いいよ、付き合お。俺、あんま詩原のこと知らないけど、話してて気が合う方だったし」
……なんだこの展開。水瀬お前、春乃さんのかわいさに目がくらんだか?



