……ったく、ひやひやさせんな。
「遅かったな、早く行こうぜ!」
水瀬は小声で言う。こういうところは常識的だ。だから俺も水瀬にならって、小声で返事をする。
「……分かったよ」
俺は今まで散々粘って逃げようとしていたくせに、あっさりと折れた。
いや、妥協したとでも言うべきか。どちらにせよ、道を踏み外したと言える。
まあ、水瀬がご満悦そうだからいいのかもしれない。
にっこにこ顔の水瀬の隣を歩きながら、備品庫においてあるものを見る。
俺は以前、ガムテープでぐるぐる巻きにされて赤マジックで『開けるな! 絶対!』って書かれたなにかが天井からぶら下げられているだとかそういう「備品庫には変なものや危険なものがあるらしい」ということを耳にしたことがあったからだ。
あくまでもウワサだけど。
どうやらそのウワサとやらの半分は正しくなかったようで、危険物はないように思えたが、変なものがあるというのは確かだった。


