きらきらでかわいいまっしろ

「結局実里ちゃんが家にいたのかどうかも分からなくて……。今日も、実里ちゃんは学校を休んでいたんです。わたし、やっぱり気になって昼休みに浦田先生に聞きに行ったんです。『実里ちゃんがなんで休んでるのか教えてください』って」

「勇気があるのね」
 
 はーちゃん先生が感心した様子で言う。私もそう思う。昨日の今日で、実里ちゃんのことを心配できる翠ちゃんは強い子だ。私なら、こわいものを見てしまって、正直もう関わりたくないと思ってしまうかもしれない。

「だ、だって、実里ちゃんは友達だから……。それに、あの白い影が見間違いだったらいいなっていう気持ちもあって……」

「ああ、その気持ちは分かるかも」

 もし実里ちゃんの欠席に相応の理由があるのなら、白い影は自分の見間違いだということにすることができる。翠ちゃんはきっと、祈るような気持ちで担任の先生に実里ちゃんのことを聞き行ったのだ。

「先生は、なんて?」

 はーちゃん先生がそう聞くと、翠ちゃんは白い影を見たと語った時のように、目を大きく見開いて、再び震え始めた。

「そ、それが……意味が分からないことを、言ってました」

「意味が分からないこと?」

 私は、はーちゃん先生と顔を見合わせて首を捻る。

「はい……。『山田さんはまっしろでだいじょうぶです』って……」

「は?」

 思わずそう言ってしまった。
 だって、担任の先生の言葉が、一つも理解できないのだ。
 それは、はーちゃん先生も翠ちゃん自身も同じだったようで、二人とも困惑気味に瞳を揺らしていた。

「“まっしろでだいじょうぶ”って、どういう意味かしら」

 はーちゃん先生の声が不可解な色を帯びる。まったく同意見だ。

「“だいじょうぶ”はそのままの意味としても、“まっしろ”っていうのが訳分かんないね。本当に先生がそう言ったの? 聞き間違いとかではなく?」

 つい、問い詰めるような口調で翠ちゃんに聞いてしまう。翠ちゃんは怯えながらも「はい……」と頷いた。

「うーん、確かに何か別の言葉を“まっしろ”って聞き間違うのはないかなぁ」

 私は自分でそう言いながら、自分の名前とほぼ響きが一緒の「まっしろ」という言葉に、ゾクッと背筋が震えた。