きらきらでかわいいまっしろ

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「存在しない会社」

 オカルト記事を食い入るように読んでいた私は、動悸が激しくなり、なかなか収まらなかった。
 そんなことがあるはずがない。
 自殺した元社員の呪いだなんて……。
 と、頭ではそう思うのに、スマホをスクロールしている間、本当にそうなのではないかという気がした。
 だとすれば、実里ちゃんやりおさんの友達の絵美さんは、怪異に巻き込まれてしまったということ……?
「まっしろでだいじょうぶ」と意味深な発言をしていた翠ちゃんの担任の先生も、実里ちゃんのお母さんも。消えてしまった本人たちも、怪異のせいでみんなおかしくなってしまったってことだ。
 
「どうすればいいの……」

 ざらりと心臓を素手で撫でられたかのような嫌な感覚がして、咄嗟にスマホから視線を逸らした。調べたことをノートにまとめようと、勉強机の抽斗(ひきだし)を開ける。
 抽斗には新品のノートが入っていたはず。
 視線を手元に移すと、結衣と美菜から渡された星空柄の交換ノートが真っ先に目に飛び込んできた。

「そういえばこれ、書かなきゃ……」
 
 交換ノートとその下の新品のノートを取り出して、抽斗を閉めようと思った刹那。ふと視線の中に見覚えのないメモ帳が入っているのが目に入って、椅子から飛び上がった。
 
「え、なにこれ……?」

 手のひらサイズの真四角のメモ帳。パラパラと表紙をめくってみると、一枚一枚、違う模様が描かれている。犬や猫といった動物、星、雲、ハート、花……。

「こ、これって……」

 思わず、先ほど閉じたスマホの画面を開く。

——文房具の企画は確か、百種類以上のデザインを使ったメモ帳だったと思います。一つ一つに違う絵柄が描かれていて、人にあげるのも自分で使うのも楽しくなるようなものです。

 目が滑って、うまく文章を追えなかった。それでも、先ほど読んだオカルト記事のMさんの言葉が頭の中でカキーンと金属音を鳴らす。

「なんでこれがうちにあるの!?」

 こんなメモ帳、買った覚えはない。不気味に思いながらメモ帳をひっくり返してみると、隅っこに「2005」と製造年らしき数字が書かれていて——。

「ひゃっ」

 思わずメモ帳を投げ出した。ボトンと床に落ちたそれは、可愛らしいメモ帳そのものなのに、禍々しいオーラを放っているように感じられる。

 私は震えながら、はーちゃん先生にチャットでメッセージを送った。